ひみつの姫君~男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!~

「きゃっ!」
リアは気付いたらイーリスの下敷きになっていた。
「リア、大丈夫か?」
イーリスはむくりと起き上がり、リアに手を伸ばした。

「あいたたた・・・」
イーリスのお尻の下敷きになった左腕をさすりつつ、リアは涙目になった。
「腕に内出血が出来てる。手、動かせる?」
イーリスに聞かれ、ひじから先を上げたり下げたりした。
そして次に、手のひらを握ったり、開いたりしてみた。
「うん。大丈夫。打ち身だけだと思う。」

イオも血相を変えて走ってきた。
「すまん。大丈夫か?」
本当に申し訳なさそうに、大きな身体を縮めているイオを見て、リアは笑った。
「大丈夫です。気にしないで下さい。近くで見ていた私も悪いんです。」

「イーリス。早めに冷やして湿布してあげなよ。」
イルに言われ、イーリスが頷いた。
「リア、私の部屋へ行こう。処置がすんだらお昼ご飯にしようか。」
イーリスの言葉に兄たちも頷いた。

「イオ兄さん。そんな落ち込まないで。ちょっと力んじゃっただけでしょう。兄さんたちも、着替えたら食堂集合ね。」
イーリスはしょんぼりしている兄に声をかけた。
イルがイオの肩をポンポン軽くたたいて連れて行くのを見て、リアたちもイーリスの部屋へと向かったのだった。

                   ※

イーリスの部屋で汗を拭き、制服に着替えたあと、湿布をはって包帯を巻いてもらった。
「リア、髪の毛もぐちゃぐちゃだよ。結びなおした方がいい。」
イーリスに指摘され、リアは鏡を見た。
「ほんとだ。三つ編みは時間かかるし、イーリスみたいにポニーテールにしてみるわ。」
リアはブラシで髪をとかすと、高い位置で一つにくくり直した。

イーリスは鏡台の方へ行くと、青いリボンを取り出してきた。
「これ、誕生日にイル兄さんから貰ったんだけど、同じのが2本あるんだ。私はいつもこの髪型で、1本しか使わないから、こっちをリアにあげるよ。」
そう言って、リボンをポニーテールの上から結んでくれた。
「せっかくお兄さんにもらったものなのにいいの?」
「うん、大丈夫。友達とお揃いっていうのもいいかなって思ったんだ。」
「ありがとう!綺麗な色だね。」
「私の瞳の色に合わせたって言ってた。」
「そんな大切な物なのに、ありがとう。大事にするね。」
「どういたしまして。じゃあ、食堂に行こう。午後は兄さんたちの練習を見たらいい。もっと迫力があって面白いと思うよ。」

                   ※

ワッツ家の食事風景は壮観だった。
とにかく量が多い。

リアは目の前に置かれた大量の肉料理を見ておののいた。
胃が破裂しそうな量だった。

これ、全部食べれるかな?
およばれでご馳走してもらったのに、ご飯残すのって失礼だよね・・・

目の前の肉を悩まし気にじっと見つめていると、隣に座ったイオが話しかけてきた。
「リア、食えるだけでいいぞ。残した分は俺が食ってやる。」
「ほんとですか?ありがとうございます。」
リアはパッと笑顔になってイオの方を見た。

うぐっ

リアを見て顔を赤くしているイオに、家族全員が同じことを考えた。

イオ兄さん、うちで一番でかくて厳ついくせに、昔から小さくて可愛いものが好きだったからなあ。

イルは肉を頬張りながら、興味津々に次兄とリアのやり取りを見ていたのだった。