翌週、モネとカナトとシロウは、シロウの家で舞踏会に着ていくドレスを誂えていた。
シロウの家の応接間には大輪の薔薇が飾ってある。
仕立て屋はメガネを掛けた女の人で、メジャーを持ってモネのドレス丈を測っていた。
「袖丈は……センチ。動かないでください」
「すみません」
「モネ、ドレスのデザイン、本当に自分で決めなくていいの?」
シロウが聞いて、首を傾げた。
「男は黒って決まってるけど、女の子は何色を着ても良いから、せっかくだからデザインすれば良いのに」
「かったる。僕正装嫌い。堅っ苦しくて窮屈でやってらんね。ジャージで良いのに。」
もう着丈を測り終えたカナトが言うと、シロウは怒り笑いして、カナトを見た。
「舞踏会をなんだと思ってるんだ。まったく、これだから庶民は。今日はモネのついでにカナトの分も注文してやったけど、次はないからな。」
「頼んでねーよ。豪商は豪商で御用達が居るんだ。もう予定してあって、僕はあと2着作ることになってる。記念品と、実用品。僕は要らんけどな。」
「どうでもいいよ。モネのドレス、僕がデザインしても良い?」
シロウがモネに聞いた。
「水色の絹と、ピンクの絹どっちが良い?。フリルはあんまり付けると下品になるから控えて。お姫様みたいなドレスを作ってあげるよ。どうしたいか言って。」
「なんでも良いよ。」
「サヤにとっては日常なんだろうな。はあ、面倒くせえ。城ってどうも趣味じゃないんだよな。」
「庶民の証拠だよ。貴族は夜会は大好きだ。商人風情は、その程度が関の山だよ。」
ぼやくカナトに容赦なくシロウが軽口を言っているうち、仕立て屋はモネの着丈を測り終えた。



