ライオンのサーカス



 学校。
 螺旋階段を登って、教室へ。

 モネが扉を開けると、教室ではシロウとカナトを囲んで生徒達が話をしていた。


「あ、モネ」

 カナトが気づいて片手を上げた。
 カナトの杖先からは今日も赤い炎が燃えている。

「僕に決まってる。貴族の僕の方が権利が沢山ある。カナトなんかに渡すもんか」

 シロウが言うと、カナトがシロウを睨んだ。
 生徒達の1人が言った。
 
「どっちがモネの旦那さんになるか、トトカルチョを組んだんだ」

「街でも魔法使いの縁組みは有名だから、評判になる」

「カナトに賭けるよ」

「シロウくんにする。だってシロウくんは貴族だもん」

「僕に決まってるだろ」

 
 カナトは近づいてきたモネを片手で抱き寄せると、生徒達を見回して宣言した。


「僕はモネの幼なじみのフィアンセだ。ご両親とも小さい頃から懇意にしてた。魔術学校からのぽっと出のシロウとは訳が違う。」

「何を。偉そうに。」


 シロウがカナトを睨んで言った。


「僕は貴族だ。貴族と結婚した方が、お後が良いに決まってる。自分勝手で俺様なカナトなんかより、モネは断然、僕を選ぶね」

「モネ、どっちと結婚するか先に教えてよ」

「あ、ずるい」

「失礼します」


 ガヤガヤしていた教室の扉が開いて、ユウタが入って来た。


「モネが、この間僕のアトリエに来た時、本忘れていったんで。」

 ユウタは、騒ぎに近づいていって、モネに本を渡した。


「ありがとう」

「何の話をしてたんですか?」


 ユウタが聞くと、数名がモネの結婚トトカルチョについて声高に説明した。


「へーえ、モネ、モテるんですね」


 ユウタはモネをじっと見て言った。


「モテるのって、嬉しいですか」

「え、えーっと」


 モネが言い淀んでいると、ユウタはぽん、とモネの頭にてのひらを乗せた。


「っていうか、お2人とは多分結婚しませんよ。モネは」

「は?。モネは僕の嫁で決定だぞ。」

「冗談。僕の奥さんだ。ユウタ、それ、どういう事?。」


 ユウタはにこっと笑った。そして、


「さあ?」


 としか答えなかった。