ユウタの最初の授業は、次の日の放課後にあった。
学校の裏山に集まる様に言われていて、モネはカナトとシロウと連れ立って裏山へ向かった。
「にしても歳下で先生なんて、余っ程優秀なんだな」
歩きながらカナトが言った。
「成績表全部Sかな」
「バカだな。そういうレベルじゃねえよ。王室使えっていうのは、特別な資格が居るんだ。相当エキスパートじゃないとできないんだよ。」
「僕のうちもカナトのうちも、有能な魔法使いのガードマン雇ってはいるけど。城下町で集めるのと訳が違う。王室っていうのは特別なんだ。きっと想像付かないくらいだよ。」
しばらく歩いていって、裏山のどこで、というのはすぐ分かった。
ユウタが先に来ていて、魔法陣を描いていたからだ。
ユウタはモネ達に気づくと手を振って挨拶した。
「来ましたね。いらっしゃい、モネ。」
ユウタが言った。
「待ってたんです。第1回目は、説明だけだけど。カナトさんとシロウさんも来たんですね。」
「げえ、ユウタ、そんな複雑な魔法陣描けんの?」
カナトが呆気に取られて口を開いた。
「僕は陣趣味で描くから分かる。それは昼間使う陣の超高等魔術の亜種型だ。絵のセンスも要る。」
「序の口ですよ。カナトさん、僕の事は先生と呼んでください。」
「ユウタ、陣得意なの?」
「専門です。シロウさんも、僕の事は先生と呼ぶ様に。」
モネは描かれた陣が青く光出すのを見て、綺麗だなと思いながら、ユウタの話を聞いた。
ユウタの話は、難しい所が分かりやすく噛み砕かれていて流暢だった。
簡単に言えば、適度に負荷がかかる魔法を毎日使っていれば、基本的に魔力の暴走は起きない、とユウタは言った。
「ユウタ、質問!」
「何ですか。カナトさん、僕の事は先生と呼んでください」
「モネはいつも魔法を使ってるけど、魔力の暴走で熱出すぜ。なんでなんだよ?」
「簡単です。使う魔法の量が足りないんですよ。」
ユウタは言うとみんなでしゃがみこんでいる魔法陣に杖で少しだけ描き足した。
「モネさんの魔力は無尽蔵で、考えてるよりよっぽど多いんです。羨ましいなあ。今度から体が疲れる程度、魔法を使ってください。」
「ふーん、分かった。ありがとな、ユウタ」
「だから、僕の事は先生と……」
「ユウタ、この陣は、被魔法者以外が入っても本当に大丈夫なの?」
「シロウさん……。ええ、大丈夫ですよ。」
最後にモネは手をあげて聞いた。
「ユウタ、疲れるほど魔法をつかうのが面倒くさかったらどうすればいいの?」
ユウタは怒り笑いを浮かべた。
「ちゃんと使ってください。そうしなきゃ陣も効きません。何を言い出すかと思えば。モネさん、僕の事は先生と呼ぶ様に。」
「ユウタ、この陣どこで見つけた?」
「王室の陣にちょこっと手を加えたものです。普通にサンプルがあるものですよ。ああもう先生って呼べって言ってるのに。」
「ユウタ、魔法を簡単に一気に使う方法ある?」
「ありません。横着しないでください。モネさん本人がそんな事でどうするんですか。」
ユウタはそれから最後にハア、とため息をついて、
「もう良いです。僕もモネさんの事モネって呼びますね。」
と言った。



