最初に倉庫に入って来たのは折れた杖だった。
カタン、と投げ捨てられて杖は乾いた音を立てて転がった。
モネは、これまでに一度も聞いた事がない様な低い声で、カナトが話すのを聞いた。
「モネは?」
「ちゃんと居るぜ。指一本触れてない」
「5億スタアある。」
「へへっ話が早えや」
カナトが男を見上げた。
木箱に座っていた男の一人が、立ち上がってカナトの前に出て来た。
「お坊ちゃんが。かっこつけやがって。」
男が顔を近づけるとカナトは睨み返した。
「嬢ちゃんみたいな顔してるくせに、調子乗んじゃねえぞ、ガキ」
そう言われたとたん、カナトは男の顔を拳でまともに殴った。
「このガキィ!」
「魔法なしでやるか?」
「先にやったのはこのガキだ。だから何をやってもいいんだ。」
倒れた男がすぐさま起き上がって、カナトに殴りかかった。
と、その男の額に、カナトの後ろに隠れていたシロウの魔法の矢が当たり、男は昏倒して倒れた。
「ガキィ!」
「魔法使いを連れてきやがった!」
「嬢ちゃんの命がどうなっても良いのかあ?」
男達が慌てて立ち上がった。
と、それを合図に、ぱっと倉庫の扉が開き、いきなり全部が明るくなった。
「整列!王室魔法部隊!」
カナトとシロウの後ろから、制服を着た100人ほどのプロの魔法使い集団が現れた。
「あなた達は完全に包囲されてますの」
隊列の後ろから杖を持ったサヤが現れた。
「抵抗したら痛い目見ますわよ!」
結局、男達はなすすべなくおとなしくお縄についた。
この話はここで終わった方が、モネには幸せだったのだが。



