サヤが港に1人でよく来るというのは本当で、沢山の近道を知っていた。
その近道は人の家の庭を通ったり、物凄く狭い小道を抜けたりしたので、モネにとっては驚きの連続だった。
港に着いた時、モネは海がこんなに近かったのかと驚いた。
寄せては返す波打ち際の素敵な景色、向こうの方に北村商会や他の貿易会社の倉庫が見える。
「とっても綺麗!」
「でしょう。来てよかったですわ。」
2人がきゃいきゃい話しながら船着場を歩いていると、人相の悪い男の2人組とすれ違った。
男の片方は、ローブから出たサヤのドレスをジト目で見ていた。
モネがそれに気づくか気づかないかのうち、声を掛けられた。
「あれ、モネさん」
振り向くと、カナトの貿易会社の下働きの女の人が、びっくりした顔をしていた。
一度カナトの家で会った事のあるその人は、モネの事を覚えていたらしい。
「なんでこんな所に。カナトお坊ちゃまとご一緒ですか?。倉庫の様子でも見に来られたんですか?」
女の人を覚えていなくて戸惑ったモネに、彼女は名乗り、カナトの家の使用人だと自己紹介した。
「いけませんよ。使用人でもこんな所には滅多に来ません。危ないです。送りの者を手配しましょうか?」
「カナトにバレますわね」
「ええっ困る困る」
焦ったモネが丁重にお断りすると、女の人はしばらく粘っていたが、心配そうにしながらもと来た道を戻っていった。
しばらく2人はまた話しながら船着場を歩いていた。
しかし、そのうちに、モネはどうもおかしな点に気がついた。
さっきの怪しい二人組が、携帯電話を使いながら2人に付いて歩いてくるのだ。
モネがそれとなくサヤに言うと、サヤは歩調を速めたが、すると同時に男達の歩調も速まった。
「カナトの商会に寄って行きましょう」
緊迫してきた事態に、サヤがモネに小声で囁いた時、モネは後ろから腕を掴まれていた。



