車は大きな門から、お城の駐車場へ入っていった。
車を降りると、赤い橋のあるお城の池がよく見えたので、モネはそこで一度深呼吸した。
お城に入ると、壁には一面金の飾りがあって、天井には水色の地で天使達の舞う絵が描かれている。
「いけません!サヤ様!」
モネ達が使用人に案内されて中を歩いていると、向こうの方から、大きな声が聞こえた。
「私がお友達をお迎えするのの、何がいけないと言うのですか!」
見ると、ヴェールで目元を隠したドレスを着た女の子が、数人のお付きの人と格闘しているところだった。
「お友達をお迎えするのに、なぜ杖が要るのです!」
「私はお友達の技量を知りたいのです!。放って置いてください!」
モネを案内していた使用人が、困った様な笑みを浮かべて、
「あちらが現王女のサヤ様です。」
と紹介した。
「あんまりグズグズ言う様なら、また呪いをかけますわよ!」
サヤと呼ばれた女の子はそう叫んでお付きの人から杖をひったくると、モネ達の方向直っていきなり姿勢を直した。
「こんにちは。ご機嫌麗しく、サヤ様。」
シロウが挨拶をすると、サヤは髪を耳に掛けながらニッコリと笑顔浮かべた。
「九条の方のシロウさんでしょう?」
「ええ。覚えていてくださって光栄です。」
「ではこちらが下田の方のモネさんかしら?」
サヤは嬉しそうに笑った。
大きな目、小さな唇、ヴェールの下のサヤの顔立ちは、驚くほど整っている。
「はじめまして。白岩サヤと申しますの。ずっとお会いしたかった。」
「サヤ!」
サヤがそこまで言った所で、向こうの方から正装をした背の高い男の人が歩いて来た。
この男の人も、サヤと似てまるで人形の様に整っている。
「こんな所で何をしているのです?」
男の人がサヤに聞いた。
「アキト兄様!。今日は私のお友達が来る日ですの。」
アキトは自分を不安げに見上げるモネに目を留めた。
「これはこれは……可愛らしいお嬢さん。」
アキトはふっと笑って、王子様のお辞儀をした。
「白岩アキトと申します。以後お見知り置きを。」
「……」
「見れば見るほど美しいお嬢さんですね」
アキトはモネが気に入ったらしい。
モネの顎に手をやって上を向かせると微笑んで言った。
「蜘蛛の毒牙に掛からないか、心配なところです。」
「下田モネのフィアンセ、北村カナトです」
カナトが笑顔を作って、アキトの手を掴んで除けた。
「悪いけどお兄さんの相手は他で見つけて貰って」
「おや?北村財閥の……」
「嫡子です。」
「北村財閥のご子息も、魔法使いでしたか」
アキトは困った様な笑みを浮かべた。
「妹は上手ですが、私魔法は不得手で。」
「そうなんですか」
「兄様!。これから私達、4人でお喋りしますの。」
カナトの言葉を遮って、サヤが鬱陶しげに言った。
「兄様には関係ありませんわ。兄様はあっちに行って」
「しかし……」
「兄様!。また魔法をかけますわよ。」
魔法、と聞いて、アキトの顔が青ざめる。
「サヤ……」
「兄様は余計です。私、モネさんが来るのとーっても楽しみにしていましたの。昨日からずっと。同じ年だし、きっと話も合うはず。……ね?。」
サヤはモネの手を取るととっておきの笑顔を見せた。



