限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

 それに、すぐに逃げ出す訳にもいかない。私には、彼の婚約者である期間が定められている。短いようで、とても長い半年間になりそうだった。

 住んでいる宮にほど近い庭園にある長いベンチに座っていた私は、差出人の書かれていない手紙を封筒に仕舞うとため息をつき、季節の花々が花咲く公園へ目を向けた。

 このベンチが用意されているということは、ここを世話する庭師はきっとこの美しい風景を見て欲しいということだろう。確かに、綺麗だわ。

 抜けるような青空だったのに、いきなり視界に影が出来て、私は何気なく左上を見上げた。

「……ギャレット様? どうしたのですか?」

「いや、この前調子を崩していただろう? ローレンがここに居るのを見たから、日傘を持って来たんだ」

 確か闘技大会の時に……本当は金が肌に合わなくて気分を悪くしたんだけど、日差しが強すぎて体調を崩してしまったようだと言った。

 ギャレット様はあんな嘘を、律儀に覚えていてくれたんだ。

「ありがとう……ございます……」

「どういたしまして……その手紙は? 何か良い知らせでも?」