限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

 自分が情けなくて、涙が止まらなくなった。

 もしかしたら、あの人をもう騙さなくても良くなると思ったのに……いいえ。王妃様にも、前金だって貰っているのに……こんなことを考えているなんて、いけない。

 池のほとりに辿り着き、いつものように蹲ろうとした時、後ろから抱きしめられて突然驚いた。

 反射的に悲鳴をあげようとした時、彼が口に手を当てて焦ったように耳元で私の名前を呼んだ。

「ローレン。俺だ」

「え……? ギャレット様……どうして」

 薄暗い中に居る彼は夜会が開かれている、城の大広間に居るはずだ。

 だって、王族主催の夜会だもの。彼は父たる王がその場を辞するまで居なければいけないはず。

「……こんなところで、一人で泣かなくても良い。何があったか教えてくれ。俺にも助けられることがあるだろう」

「なんでもありません……私はっ……もうっ、一人で大丈夫なので、もう行ってください」

 そんな訳はないということは、それを口にしている私だってわかっていた。