限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「そんなものは要らないわ。欲しがっている人なんて、そこら辺にたくさん居るんだから、私ではなくそういう誰かにあげれば良いでしょう」

 共犯者のイーサンに同情なんて、されたくない。私は自分で、この道を行くと選んだのだから。

 それに、自分が可哀想だと思って、何が楽しいのかしら。さめざめと泣いている間に、誰かに利用されて搾取されるなんて真っ平だわ。

 肘をついて私を見つめるイーサンは目の前にあったお茶を口に含み、やけに大げさに肩を竦めた。

「やれやれ。父親があんな風にならなければ、君も何の努力もなく幸せになれただろうに」

「何も考えず、自分でまったく努力もせず幸せに? まるで、夢物語ね。そんな人、この世界に存在しているのかしら」

「……君以外の貴族令嬢は、大体そうじゃないのか。家も裕福で、生活も困ることはない。気になることと言えば、貴族の中で持て囃される流行と自分の恋の行方くらいか」

 イーサンは庶民からのし上がった彼らしく、日々夜会でダンスを楽しむ貴族がよほどお気楽に見えるのだろう。