限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「そうか。こんなにも軽いから、もしかしたらローレンの正体は、妖精なのかと思った」

「……そんな訳……ありません」

 私はいつものように歩み寄る彼を突き放すように、冷たく答えようとした。けれど、出来なかった。

 彼の青い目が近過ぎて……そこに灯る光が、甘すぎて。

「ははは。悪かった……しかし、気分が悪いなど……何かあったのか?」

「いいえ。今日は日差しが強かったのに、日傘を忘れました。そのせいなのかもしれません」

 秋口に入り強い日差しも緩んでいたけれど、ギャレット様は私の言葉を疑うことはなかった。

「そうか……念のために、医師に診て貰おう。丁度よく俺が怪我をした時用に、待機しているはずだ」

 それって……王族のみ治療が受けられる高名な御典医なのでは……? いいえ。ここでかたくなに遠慮しても変に思われてしまう。

「まあ! 申し訳ありません。ありがとうございます……けれど、ギャレット様は優勝者として表彰式に出られるのでは?」

 優勝者は一度着替えて、まだ観客の残る客席に挨拶する流れだったはず。やけに豪華な服を着ているギャレット様だって、そのつもりだったのだろう。