限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

 私の肌は、幼い頃から金にだけ弱い。それを知る母は、私用の装飾品は銀や白金で作ってくれていた……今ではもう、そのほとんどを売り払ってしまったけれど。

 けれど、これは王太子の婚約者としての証で、彼が自ら選んで私に与えてくれたものでもない。ただ、王太子の婚約者としての役割に対し、与えられたものだ。

 公の場では、あれを身につけなければならない。

「もう止めて……良いのよ。それ以上言わないで。これは、ただの王太子の婚約者の証。ギャレット様は私の肌が金に弱いことを知れば、きっと私用に作り直して贈ってくれると思う。けれど、私はすぐ彼の婚約者でもなくなるのだから……少しの間の我慢よ。それで、良いの」

 成人するまで剣技の上達ばかり追い求めていたらしいギャレット様は、別に婚約者の私を蔑ろにしている訳ではないと思う。ただ、こういうことに疎くてそういう可能性があることをただ知らないのだと思う。

「……大体、なんであいつは姉上のことが気持ち悪いくらいに好きなの? お互いに何も思われてなければ、ほんの一時だけ婚約者だった期間があるだけで終われたのに」