限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「……国賓については、また違う機会を設ければ良いだろう。ローレンは俺の婚約者になって、そろそろ一年経つんだぞ」

 それは元王妃の思惑だったらしいが、もうなんでも良い。彼女は色々と罪が発覚したが、元王妃という立場もあり、離宮に蟄居することになった。

 きっと、もう生きている間に会うこともないだろう。

 俺の義弟のアイゼアは全く何も知らなかった。これまでの母の罪を悔いて王位継承権を捨てようとしたのだが、父がそれを止めた。アイゼアは思いとどまり、今も第二王子のままだ。

 あの二人で、どんな話をしたのかは俺は知らない。知る必要もない。

「お前は……本当に、恋愛に免疫がないから……だから、言っただろう。剣の練習ばかりせず、令嬢との会話も練習しろと」

「ん? ……あ。ローレンか? ああ。絵を描いているんだな」

 前に蹲って泣いていたローレンを見掛けた場所で、彼女は絵を描いていたようだ。後ろ姿もおかしいくらいに可愛い。

「ああ……そうだな。ギャレット。手でも振ったらどうだ?」