限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

「ローレン。これは……おかしいぞ。対処しないと危険だ。すぐに医者の元へ連れて行こう。おい! こっちに来い!」

 お父様の様子を見たイーサンが、彼の用心棒として雇われている何人かを呼んだ。屈強な男性が二人でお父様を運び、イーサンが乗ってきた馬車へと運び込んだ。

 共に乗り込んだイーサンと私は、とにかく楽な姿勢になるようにとお父様の体を動かした。

 イーサンは何を思ったのか、お父様の長袖を捲り上げ、厳しい表情で言った。

「おい。ローレン。これで何も思わなかったのか。彼の様子はおかしい。こうなってしまうまで……気がつかなかったのか?」

「え? ……お父様はお母様が亡くなって……賭け事に嵌まり、お酒に頼るようになったわ。それから私は借金取りが家に続々と来るようになって……お父様はそんな時にも、賭け事を……だから、だから私……」

 イーサンは泣きそうになった私に対し、これは言い過ぎたと思ったらしい。何度か大きく息をつくと、ぐったりとしていたお父様の肘の裏あたりを指さした。