限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

 え……可愛い。まるで大型犬が待てを言いつけられて、じっと我慢しているようで。

「あの……ごめんなさい。そんなに、隅に行かなくても……良いです。私も落ち着いてきました」

 微笑んだ私に、ギャレット様も頷いて笑ってくれた。

「ああ……良かった。ローレンに嫌われたのかと思った」

 ほっと息をついて、私の方へと近寄ったギャレット様に、私は両手を突き出した。

「駄目です。待ってください」

「……え?」

「やっぱり……」

 無理ですと言いかけた私の体を抱き上げて膝に載せると、ギャレット様は顔を間近に近づけて笑った。

「おい。もう良いだろう? 恥ずかしかったら、どうにかして慣れてくれ。これまでのあれは結婚を先延ばしにするための言い訳だったと知っているから、そろそろ俺には慣れてくれても良いと思うが」

「そ、そそそ……そうですよね! もうっ……私もギャレット様に慣れなきゃいけないことは、ちゃんとわかってはいるんですけど!!」

 顔が赤い。これまでギャレット様には、冷たく対応しないとって思ってた……だって、私って期間限定の婚約者だったし……。

 でも、これからはそうでなくなる。