限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

 つまり、この借りを簡単に返すことが出来ない。利に聡いイーサンだって、それを理解しているはずだ。

「さてね。目のくらむような大金を持っていると、近づいてくる誰も彼も金目当てに見える。俺にはもう簡単に見えなくなってしまったものを、どうかこの目に見せてくれよ。安全に幸せになれる道を捨ててでも、愛する人を守ろうとする女は……この世に、存在しているのだと」

 一代にして若い大富豪となったイーサン・ベッドフォートの名前は今や鳴り響き、彼と結婚したいと望む女性は世界中に多いだろう。

 けれど、彼はその中から自分のことを愛している人物がこの人だと判断するには、難しいはずだ。彼は言った。お金があれば、何でも買える。人の心も爵位だって、貴族の血を持つ妻でさえも。

 では、自分の利益のために嘘をつくことの出来る人間相手に、真実の愛を見つける方法とは?

 ……頭の切れるイーサンにもわからないのに、私になんてわかるはずもない。

 私がギャレット様に向ける感情は、真実の愛なのだろうか。自分にも、良くわからない。