Stellar Express

「……ごちそうさま」



まともに味もしない夕食を数口だけ機械的に口に詰め込み、僕は自室に籠もった。


「ちょっと!?いっぱい残してるじゃない!」


階下から叫び声が聞こえるけど、無視した。



暗い部屋のベッドに大の字になって、ぼんやりと白い天井を見つめる。


耳の奥で、担任の保身に満ちた言葉と、


父親の軽蔑を含んだ溜め息が、何度も何度もリフレッシュされては僕の心をナイフのように深く削っていく。


『空気を読め』

『受け流せばいいんだよ』


あぁ、鬱陶しい。

息が詰まる。ここにいたら、僕の心は本当に窒息して、死んでしまう。


そのままぼーっとして、


夜の静寂が街を完全に包み込んだ、午前零時。



デジタル時計の数字が綺麗に「00:00」になったのを見計らい、


僕は家族が寝静まったのを確認して、最低限の財布とスマホだけをリュックに詰めて、


静かに家を抜け出した。



ガコン、


と重く閉まった玄関の鍵の音が、まるで僕を冷酷な現実から切り離す境界線のように静まり返った廊下に響いた。



ヒヤッ。


7月上旬だけど、夜はまだ寒い。


一歩外に出ると、夜の空気はひどく冷たかった。



だけど、あの家や教室の生温くて不潔な空気よりは、ずっと呼吸がしやすかった。


行くあてなんてない。そもそも考えてない。


ただ、誰も僕を知らない、あの冷たい世界の延長線上ではない、どこか遠くへ行きたかった。