食事が終わり病院にいった。
ふみは仕事があるからかえった。
病院の会計を待っていると、そこに幸輝の姿があった。彼も用事を済ませて帰るところだったので、愛斗と貞夫、幸輝の三人は連れ立って帰ることになった。道すがら話を弾ませ、途中でコンビニへ立ち寄った。
店内で買い物をしていると、一人の女性が声をかけてきた。音楽プロデューサーの湊山尚子だった。貞夫と幸輝が顔見知りらしく挨拶を交わし、愛斗も紹介された。
「愛斗くん、貞夫さんって奥さんはいるの?」尚子が柔らかい声で尋ねる。
「私はわかりませんが」と愛斗が答えるより早く、貞夫が口を開いた。
「いないよ。離婚しているからな」
「そうなんですね。よろしければ連絡先を教えていただけますか?」
「え、俺に?」
貞夫は少し戸惑ったが、幸輝から促され、尚子に連絡先を伝えた。尚子は自分が貞夫をタイプだと感じたことを素直に打ち明けた。用事の動画配信があるという尚子は、その場で別れて帰宅した。愛斗と幸輝はその後も話し込み、ふみの家へと向かった。
家ではふみがリビングでテレビを見ていた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「愛斗くん、湊山さんって愛斗くんのタイプなの?」
「いや、全然。俺にはふみがいるから。それに、相手も俺のことなんとも思ってないよ」
「そうかあ。ふみ、今日は早めにしょくじにしろ」
「わかった」とふみは頷いた。貞夫はそのまま自室へと引き上げた。
「愛斗くん、尚子さんってどんな人? デイサービスで会ったの?」
「音楽プロデューサーだよ。俺、昔から演歌が好きでカラオケバトルに出てたことがあって、そのときに知り合ったんだ。今日はコンビニで偶然会って、貞夫さんに一目惚れしたみたいで、連絡先を交換してたよ」
「パパが普段はあんなふうにすぐ教えたりしないのに」
「そうなんだ。もしかしたら、貞夫さんもタイプだったのかもな」
「そうなんだ。パパにもタイプの人がいるんだね。いつも背が高くて、ちょっと怖い雰囲気だから意外」
「たしかに見た目はそうだけど、やさしいところもあるよな」
「うん」
「そろそろ料理しなくて大丈夫なのか?」
「あ、うん、するよ」
ふみが台所に立ち、焼きそばが食卓に並んだ。食事を終えて八時になり、テレビをつけるとカラオケ番組が放送されていた。画面には先ほどの尚子が映っていて、ふみは少し驚いた。貞夫に一目惚れしたという彼女は五十代だが、とても綺麗で、幸輝さえも惹かれるほどの雰囲気だった。だが愛斗だけは、心が動く様子はなかった。
「え、この人、若く見えるね」
「うん、年は五十代くらいだけど、年上の人がタイプだってさ」
「もっちゃんとかとは違うの?」
「うん。もっちゃんも好感は持ってたみたいだけど、タイプじゃないらしい。貞夫さんが一番しっくり来るようだ」
「そうなんだ」
「俺は……やっぱりタイプじゃないけど、俺にはふみだけがいい」
「ありがとう」
「ふみ、もしこの人が新しいお母さんになったら、嫌か?」
「嫌じゃないよ」
「そうか、ならよかった」
四人で話し合った翌日、尚子が家を訪ねてきて、リビングに通された。
「こちらが俺の彼女のふみです」愛斗が紹介すると、
「よろしくね」とふみは笑顔で応じた。
「はい、ふみさん。私、貞夫さんに一目惚れしました。よろしければ交際したいのですが」
「俺も尚子さんに好意を持った。よろしく頼む」貞夫が真っ直ぐに答える。
「お父さんの好きにしていいよ」
「ありがとう、ふみ」
「うん」
こうして貞夫と尚子は交際することになった。四人で談笑した後、尚子は笑顔で家を後にした。
ふみは仕事があるからかえった。
病院の会計を待っていると、そこに幸輝の姿があった。彼も用事を済ませて帰るところだったので、愛斗と貞夫、幸輝の三人は連れ立って帰ることになった。道すがら話を弾ませ、途中でコンビニへ立ち寄った。
店内で買い物をしていると、一人の女性が声をかけてきた。音楽プロデューサーの湊山尚子だった。貞夫と幸輝が顔見知りらしく挨拶を交わし、愛斗も紹介された。
「愛斗くん、貞夫さんって奥さんはいるの?」尚子が柔らかい声で尋ねる。
「私はわかりませんが」と愛斗が答えるより早く、貞夫が口を開いた。
「いないよ。離婚しているからな」
「そうなんですね。よろしければ連絡先を教えていただけますか?」
「え、俺に?」
貞夫は少し戸惑ったが、幸輝から促され、尚子に連絡先を伝えた。尚子は自分が貞夫をタイプだと感じたことを素直に打ち明けた。用事の動画配信があるという尚子は、その場で別れて帰宅した。愛斗と幸輝はその後も話し込み、ふみの家へと向かった。
家ではふみがリビングでテレビを見ていた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「愛斗くん、湊山さんって愛斗くんのタイプなの?」
「いや、全然。俺にはふみがいるから。それに、相手も俺のことなんとも思ってないよ」
「そうかあ。ふみ、今日は早めにしょくじにしろ」
「わかった」とふみは頷いた。貞夫はそのまま自室へと引き上げた。
「愛斗くん、尚子さんってどんな人? デイサービスで会ったの?」
「音楽プロデューサーだよ。俺、昔から演歌が好きでカラオケバトルに出てたことがあって、そのときに知り合ったんだ。今日はコンビニで偶然会って、貞夫さんに一目惚れしたみたいで、連絡先を交換してたよ」
「パパが普段はあんなふうにすぐ教えたりしないのに」
「そうなんだ。もしかしたら、貞夫さんもタイプだったのかもな」
「そうなんだ。パパにもタイプの人がいるんだね。いつも背が高くて、ちょっと怖い雰囲気だから意外」
「たしかに見た目はそうだけど、やさしいところもあるよな」
「うん」
「そろそろ料理しなくて大丈夫なのか?」
「あ、うん、するよ」
ふみが台所に立ち、焼きそばが食卓に並んだ。食事を終えて八時になり、テレビをつけるとカラオケ番組が放送されていた。画面には先ほどの尚子が映っていて、ふみは少し驚いた。貞夫に一目惚れしたという彼女は五十代だが、とても綺麗で、幸輝さえも惹かれるほどの雰囲気だった。だが愛斗だけは、心が動く様子はなかった。
「え、この人、若く見えるね」
「うん、年は五十代くらいだけど、年上の人がタイプだってさ」
「もっちゃんとかとは違うの?」
「うん。もっちゃんも好感は持ってたみたいだけど、タイプじゃないらしい。貞夫さんが一番しっくり来るようだ」
「そうなんだ」
「俺は……やっぱりタイプじゃないけど、俺にはふみだけがいい」
「ありがとう」
「ふみ、もしこの人が新しいお母さんになったら、嫌か?」
「嫌じゃないよ」
「そうか、ならよかった」
四人で話し合った翌日、尚子が家を訪ねてきて、リビングに通された。
「こちらが俺の彼女のふみです」愛斗が紹介すると、
「よろしくね」とふみは笑顔で応じた。
「はい、ふみさん。私、貞夫さんに一目惚れしました。よろしければ交際したいのですが」
「俺も尚子さんに好意を持った。よろしく頼む」貞夫が真っ直ぐに答える。
「お父さんの好きにしていいよ」
「ありがとう、ふみ」
「うん」
こうして貞夫と尚子は交際することになった。四人で談笑した後、尚子は笑顔で家を後にした。

