「あのさあ。バニラ・・・」
「雨、やんだみたいですわ」
会話を遮るようにバニラが外を見た。
窓には水滴がついているが、確かに雨はやんだようだ。
「マヒル様。今、お庭でガーベラが綺麗に咲いているのですが。一緒に見ませんか?」
「えっ。ああ、うん」
バニラは笑顔で提案してきた。
心が読めるであろうバニラのことだ。
外で話そうってことなのだろう。
太陽様が上で休んでいるので。
そぉーと台所の勝手口から外に出た。
地面は雨のせいでぬかるんでいたけど。
バニラが歩くと、不思議なことに土が乾いていく。
私はバニラの後ろについていくだけ。
家の横にある庭には。
バニラが育てたハーブや花がある。
庭を見ていると、バニラがいかに几帳面な性格なのかが伺える。
きちんと整頓された庭は雑草がはえていない。
「きれいな花だね」
「うふふ。ありがとうございます」
バニラがお礼を言った。
「それで、さっきの・・・」
「マヒル様。わたくしはマヒル様に仕えております」
「へ?」
急にどうしたとばかりに、バニラが当たり前のことを言ってのけた。
ひらひらと花の周りを白い蝶が飛んでいく。
「マヒル様の幸せを願うと同時にご主人様である太陽様の幸せも願っております」
「うん…?」
「マヒル様が日々感じている通り、太陽様は優しすぎる心の持ち主です」
そう言うと、バニラはゆっくりと見回るように歩き始めた。
「太陽様はいつも何か起こるたびにご自身の責任だと感じておられるようでしたので…」
「つまり、今回の駆け落ちも太陽様のせいだって勝手に思い込んでいると?」
え、おかしくない?
どういう思考回路で自分のせいだって思い込んでしまうのだろう。
2階のほうを見上げた。
なんか、しょうもなく腹が立ってくる。
イチゴが全部悪いのに。
イチゴだけじゃない、イチゴを甘やかしてしまったナイトも悪いに決まっている。
「暗闇に差し込む一筋の希望ですわ」
「うん?」
バニラはしゃがみ込むと、ぶちっと葉っぱを抜き取った。
「終わりの見えない暗闇の中で、もがき苦しんでいました。それでも、光はさしてこなかった。わたくしはやっとマヒル様という希望の光と出会えました。太陽様も、そうあってほしいと願うばかりです」
正直、バニラの言うことがわからなかった。
ただ、バニラは理由を持って、言葉を濁しているだけはわかった。
「太陽様が笑顔でいられますよう」
バニラの視線の先には白い花があった。
3枚の花びらが特徴の花だ。
はかなげに見える白い花を見つめるバニラは怒っているように見えた。
「…あのね。私も太陽様の笑顔を見たいな」
正直に思っていた言葉を告げると、バニラはこっちを見て笑顔になった。
「まあ、マヒル様。ついに素直になられましたね」
「…いや。あのね、太陽様だけじゃなくてバニラも…みーんな笑顔になってほしいわ」
恥ずかしくなって、ついごにょごにょと付け加えたけど。
バニラは終始笑顔だった。
「大丈夫ですわ。大丈夫じゃなくても、わたくしがどうにかします」
つづく
「雨、やんだみたいですわ」
会話を遮るようにバニラが外を見た。
窓には水滴がついているが、確かに雨はやんだようだ。
「マヒル様。今、お庭でガーベラが綺麗に咲いているのですが。一緒に見ませんか?」
「えっ。ああ、うん」
バニラは笑顔で提案してきた。
心が読めるであろうバニラのことだ。
外で話そうってことなのだろう。
太陽様が上で休んでいるので。
そぉーと台所の勝手口から外に出た。
地面は雨のせいでぬかるんでいたけど。
バニラが歩くと、不思議なことに土が乾いていく。
私はバニラの後ろについていくだけ。
家の横にある庭には。
バニラが育てたハーブや花がある。
庭を見ていると、バニラがいかに几帳面な性格なのかが伺える。
きちんと整頓された庭は雑草がはえていない。
「きれいな花だね」
「うふふ。ありがとうございます」
バニラがお礼を言った。
「それで、さっきの・・・」
「マヒル様。わたくしはマヒル様に仕えております」
「へ?」
急にどうしたとばかりに、バニラが当たり前のことを言ってのけた。
ひらひらと花の周りを白い蝶が飛んでいく。
「マヒル様の幸せを願うと同時にご主人様である太陽様の幸せも願っております」
「うん…?」
「マヒル様が日々感じている通り、太陽様は優しすぎる心の持ち主です」
そう言うと、バニラはゆっくりと見回るように歩き始めた。
「太陽様はいつも何か起こるたびにご自身の責任だと感じておられるようでしたので…」
「つまり、今回の駆け落ちも太陽様のせいだって勝手に思い込んでいると?」
え、おかしくない?
どういう思考回路で自分のせいだって思い込んでしまうのだろう。
2階のほうを見上げた。
なんか、しょうもなく腹が立ってくる。
イチゴが全部悪いのに。
イチゴだけじゃない、イチゴを甘やかしてしまったナイトも悪いに決まっている。
「暗闇に差し込む一筋の希望ですわ」
「うん?」
バニラはしゃがみ込むと、ぶちっと葉っぱを抜き取った。
「終わりの見えない暗闇の中で、もがき苦しんでいました。それでも、光はさしてこなかった。わたくしはやっとマヒル様という希望の光と出会えました。太陽様も、そうあってほしいと願うばかりです」
正直、バニラの言うことがわからなかった。
ただ、バニラは理由を持って、言葉を濁しているだけはわかった。
「太陽様が笑顔でいられますよう」
バニラの視線の先には白い花があった。
3枚の花びらが特徴の花だ。
はかなげに見える白い花を見つめるバニラは怒っているように見えた。
「…あのね。私も太陽様の笑顔を見たいな」
正直に思っていた言葉を告げると、バニラはこっちを見て笑顔になった。
「まあ、マヒル様。ついに素直になられましたね」
「…いや。あのね、太陽様だけじゃなくてバニラも…みーんな笑顔になってほしいわ」
恥ずかしくなって、ついごにょごにょと付け加えたけど。
バニラは終始笑顔だった。
「大丈夫ですわ。大丈夫じゃなくても、わたくしがどうにかします」
つづく


