捨てられ少女は愛を知らない

side 桃寧

あれは中学3年の夏の塾帰りだった。



いつも通り塾で自習をしてきた帰りだった。
暗い夜道を歩き家についた。



「ただいま。」


帰ってきた瞬間飛んできたのは怒号だった


「     おい、お前
  この成績はどういうことだ!! 」


大方、この間の模試の結果が帰ってきたんだろう。
あの日は高熱が出ていたのに、お父さんが

「それでも行け。」

「なんのために高い塾代を払っていると思っているんだ。」

と言ったから受けたものだ。
ただでさえ頭の悪い私が、コンディションの悪い状態で受けたらさんざんなことになることくらい、
誰でも安易に想像がつくものだというのに


「その日は熱が出ていたので、、、」

「うるさい!」

「普段から真面目に勉強していればいい話だろう。」

「たった1日熱が出たごときで」

「なんのために塾に行っているんだ!!」

どうやら今日はかなり機嫌が悪いらしい

でも、次に飛んできた一言は

私の想像を遥かに上回るものだった



「お前には失望した。」


「この家から出ていけ。」



「えっ?」

「そんな、お父さん冗談で、」


「いいから早く出ていけ!!」


そう言ってお父さんは混乱して動けない私のことを玄関まで引きずっていった


我に返った私の耳には

ぱたんっ、と

ドアが閉まる音が聞こえた


あぁ、これからどうしろというのだろう

そもそもこの辺は繁華街で

夜、一人で未成年が出歩くには危険だ

「でも、もうどうでもいいや」

そんな言葉が思わず溢れたのには自分でもびっくりだ

きっともう、限界はきていたのだろう

毎日お父さんに言われるがままに勉強

気に入らなかったり機嫌が悪ければ

罵られ、暴力を振るわれる

これからどうすればいいかはさておき

解放されたと思えば悪くはないかもしれない

「         よしっ、 
  とりあえず今夜過ごせそうなところを探さないとっ」

そういえば近所の公園は普段から人が寄り付かないし、

多少は安全だろう

そう思って公園に行ったことからが間違いだったのだろう