財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

しかし後になって理解する。

道明寺家が見たいのは作られた令嬢ではない。

素の人間性なのだ。

だから誰も六花に課題を与えない。

誰も指示を出さない。

自由に過ごしなさい。

ただそれだけだった。


けれど六花には自由を楽しむ余裕などなかった。

父の言葉が何度も頭をよぎる。

『三人のうち誰かを射止めてこい』

『結婚相手の選択肢を三つやる』

『西園寺の後ろ盾があれば後継者になれる』

あの冷たい声。

感情のない目。

六花には分かっていた。

もし失敗したら。

父は絶対に不機嫌になる。

そしてその不機嫌を向けられるのは自分か玲央お兄様だ。玲央兄様はお父様の反対を押し切ってアイドルになったから、今でも度々衝突している。

自分のせいで玲央兄様にとばっちりをくわせるわけにはいかない。