夕食後。
私は自室で夏休みの荷造りをしていた。
大きなトランクが二つ。
ベッドの上には着替えや本や勉強道具が並んでいる。
そして。
その横には優斗がいた。
「六花、そのワンピースも持っていく?」
「どうしよう。」
「どこかに遊びに行くときに必要なんじゃないか?」
「うーん、確かに。」
優斗は手際よく服を畳みながら荷物を整理していく。
昔からこうだった。
私が苦手なことは優斗が助けてくれる。
その姿は執事というより幼馴染に近かった。
だが。
問題は他にいた。
「可愛い。」
紫苑兄様である。
「荷造りしてる六花も可愛い。」
ベッドの端に座りながらひたすら私を眺めている。
「そんなに見なくても私は消えません。」
「でも1ヶ月も会えなくなる。」
「そんなに言うなら荷造り手伝ってください。」
「西園寺財閥次期当主に奴隷労働させんなよ。」
荷造り🟰奴隷労働……
相変わらず紫苑兄様の言葉遣いは大袈裟だ。
部屋の反対側からは玲央兄様の声が飛んでくる。
「おいブス。」
「何ですか。」
「その服ダサい。」
「普通です。」
「普通以下だろ。」
「失礼ですね。」
「道明寺に恥晒すなよ。」
「そんなに変ですか?」
「変。」
「変じゃない。」
「変。」
「変じゃないです。」
「変。」
「もういいです!」
玲央兄様は満足そうに笑った。
絶対わざとだ。
絶対わざと怒らせている。
優斗はそんなやり取りを見ながら苦笑していた。
そして私は気付いていなかった。
紫苑兄様は私が道明寺家へ行くことを心の底から寂しく思っていて。
玲央兄様も口では散々罵倒しながら、実は同じくらい寂しく思っていることを。
二人とも。
明日から始まる夏休みを。
少しだけ憂鬱に感じていた。
私は自室で夏休みの荷造りをしていた。
大きなトランクが二つ。
ベッドの上には着替えや本や勉強道具が並んでいる。
そして。
その横には優斗がいた。
「六花、そのワンピースも持っていく?」
「どうしよう。」
「どこかに遊びに行くときに必要なんじゃないか?」
「うーん、確かに。」
優斗は手際よく服を畳みながら荷物を整理していく。
昔からこうだった。
私が苦手なことは優斗が助けてくれる。
その姿は執事というより幼馴染に近かった。
だが。
問題は他にいた。
「可愛い。」
紫苑兄様である。
「荷造りしてる六花も可愛い。」
ベッドの端に座りながらひたすら私を眺めている。
「そんなに見なくても私は消えません。」
「でも1ヶ月も会えなくなる。」
「そんなに言うなら荷造り手伝ってください。」
「西園寺財閥次期当主に奴隷労働させんなよ。」
荷造り🟰奴隷労働……
相変わらず紫苑兄様の言葉遣いは大袈裟だ。
部屋の反対側からは玲央兄様の声が飛んでくる。
「おいブス。」
「何ですか。」
「その服ダサい。」
「普通です。」
「普通以下だろ。」
「失礼ですね。」
「道明寺に恥晒すなよ。」
「そんなに変ですか?」
「変。」
「変じゃない。」
「変。」
「変じゃないです。」
「変。」
「もういいです!」
玲央兄様は満足そうに笑った。
絶対わざとだ。
絶対わざと怒らせている。
優斗はそんなやり取りを見ながら苦笑していた。
そして私は気付いていなかった。
紫苑兄様は私が道明寺家へ行くことを心の底から寂しく思っていて。
玲央兄様も口では散々罵倒しながら、実は同じくらい寂しく思っていることを。
二人とも。
明日から始まる夏休みを。
少しだけ憂鬱に感じていた。
