財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

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 書斎へ近づけば近づくほど足取りは重くなり、胸の奥には嫌な予感がじわじわと広がっていき、まるで見えない鎖で引きずられているような気分になっていた。

 お父様に呼び出されて良い思いをしたことなど、一度もない。

 いつだって命令か叱責、そして躾。それだけ。

 いつだって西園寺家のため。

 そこに私自身の気持ちが入り込む余地はほとんどなかった。

 だから私は無意識に優斗の燕尾服の袖を掴んでいた。

 心の拠り所を求めるように。

 優斗は何も言わず、ただ私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれていた。

 それだけで少し落ち着いてくる。