財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

「今度の休日、俺が連れて行ってあげるよ」

「……どこへですか」

「麻布のル・プーレ」

六花が首を傾げる。

知らないらしい。

俺は少し得意げになる。

「グランメゾンだ」

「フレンチなのですね」

「美味しいらしいぞ」

「誰情報ですか」

「九条」

六花は納得したような顔をした。

九条聡(くじょうさとる)

俺の小学校からの親友であり、金融業界を牛耳る九条家の御曹司。

味覚に関してはかなり信用できる。

「この間も絶賛してたからな」

俺はソファに腰を下ろした。

「六花も気に入ると思う」

六花は何とも言えない顔をしていた。

恐らくファミレスとグランメゾンは違うと言いたいのだろう。

だが俺にはよく分からない。

妹がレストランへ行きたいと言っているのだから、もっと良いレストランへ連れて行く。

完璧な解決策だと思う。

ところが六花は再びため息を吐いた。

俺は首を傾げる。

なぜだろう。

玲央ならともかく、俺はかなり譲歩したつもりだったのだが。

女心というのは難しい。

そんなことを考えながら、俺は紅茶を一口のんだ。

そして心の中でひっそりと思う。

今度の休日は誰に何を言われても仕事を入れないようにしよう。

せっかく可愛い可愛い可愛すぎる六花と食事ができるのだから。

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