カフェオレでも飲みながら








 出かける約束をすっぽかしたあたりで、さすがに伊織にちょっと悪かったかなと思った。

 単なる考えすぎで、伊織には何もされてないのに。

 恋愛を恋愛として考えることが面倒で、もう伊織とは話さなくていいやという気にすらなっていた。



 面倒くさくない方へ面倒くさくない方へと私は流れる。



 もうちょっと成長してからだったら楽しかったのかなと他人事のように思った。






 日直が号令をかけホームルームが終わった。

 伊織に捕まらないように急ぎ足で教室を出ようとした時だった。



「朝田さん」



 教室のドアが伊織によってがらっと閉められた。




「最近何?。僕は怒ってるよ。」

「…何でもない」




 私がドアを開けようとするのを、伊織は右手で防いだ。




「何で逃げるの。何でかが知りたい。」

「何でもないけど」

「嘘つけ。僕が何かしたなら言って。」

「何もしてない」

「じゃあ何だよ」

「えーと言いにくいから」

「言いにくくても」




 伊織がこっちを睨んだ。
 もう一度言った。




「僕が何かしたんなら言って」

「いや…」

「いや?」

「何もしてないけど」




 私は恋愛の事を口に出したくなかった。


 実際まだ、私の中ではそれは恋愛ではないのだ。



「言えないの?」



 伊織が聞いた。




「…うん」

「ああそうじゃあ何かを言わないんだね。
4時にバス停でうんって言ったのに来なかった。」




 伊織が言った。



「ごめん」



 私が言ったが伊織は笑わない。




「なんで来なかったの?」

「その、忘れてて」




 伊織が私を睨んだ。




「本当は何?」

「本当はえーと本当が言いにくいんだ……。」

「聞く」




 伊織が言った。



 あんまりきっぱり言うので私は嘘を突き通せなくなった。

 私はしどろもどろに言った。



「恋愛っぽい事考えてて、噂されてるし、伊織を好きな人居るし、居心地悪くて…」