次の日。
恭くんはまた窓の外を見ていた。
ロッカーの前で、ぼうっとした様に。遠くを見る目で。
そうして居る所からはなんとなく抽象画が連想された。
「恭くん」
「山井さん。どうしたの?」
「何を見てるの?」
「何も。雨降るかなって思っただけ。」
「ふーん」
私は頷いた。
美少年と梅雨は似合うという事実を、そこでもまた繰り返し思った。普遍の事の様に。
「雨が好きなの?」
「ううん。嫌い。でも考えようによっては大事だし。山井さん、傘持ってきた?」
「うん」
ふーん、と恭くんは呟いた。
窓の外を見ると黒雲が立ち込めて、今にも雨が降り出しそうだった。
「ねえ、恭くんってヴァンパイアなの?」
前から思っていた事を、私は当てずっぽうに聞いた。
「は?」
恭くんは目を丸くした。
「どういう事?」
「顔立ちとか、見た目が、妖怪レベルで歳取らないでしょ」
「何それ」
恭くんは腑に落ちない顔をしていたが、やがてくすくす笑い出した。
「だったら面白いね」
恭くんはまた窓の外に目をやった。
気だるげな。物憂げなアンニュイな横顔で。


