空に吹く、風の音を教えて。

川越駅から1時間もかからないうちに池袋駅に到着した。

先に行って都内在住組を先導してくれる和実ちゃんとの待ち合わせはサンシャインシティの入り口となっている。

果たしてこの人混みの中そこまできちんと辿り着けるのだろうか。

なんて四方をカラフルな人間に囲まれ縮こまることしかできない私とは裏腹に、聖地に足を踏み入れのびのびと羽を伸ばす少女がいる。


「実に3ヶ月ぶり!ただいま、池袋〜」


光莉ちゃんの大声に驚き、ベビーカーを押していたお母さんが心配そうに我が子を覗き込んだその一瞬を、私は見逃さなかった。


「オレも久しく来てないけど道は完璧に頭に入ってるからエスコートは任せて!」


こっちもノリノリだ。


「おっ!さっすがそーちゃん!頼りにしてます」


みつりんが人差し指で颯太の頬をツンツンすると、颯太は心から嬉しそうに微笑んだ。

こう素直だと普通に可愛い弟なんだけどな。

姉の私には高圧的っていうかなんというか。

やっぱり好きな人に対する態度は甘くなるってことか、と妙に納得した。

そんなやり取りを2人の半歩後ろから眺めながら1年に1回くるか来ないかの都会を珍しそうにキョロキョロし、歩き続けた。

10分くらい人に流され、なんとか約束の場所に辿り着いた。