空に吹く、風の音を教えて。

来るXデーは朝から太陽が煌々と照り付けていた。

遮光レベル最高のカーテンを部屋に取り付けたというのに隙間から漏れてくるものだから防ぎようがないのが厄介。

出たくない、

行きたくない、

めんどくさい、

今さらだよ…。

なんていう身体を鉛のように重くする言葉たちを背負いつつも起き上がり身支度をした。

夏休みに入ってからというもの、日焼けをしたくないものだからずっと自宅に引きこもり、光莉ちゃんからオススメされたアニメを見たり趣味のお菓子作りをしたりとかして夏休みを謳歌していたというのに。


「はぁ…」

「朝からドデカため息やめろよ風花」


洗面所で髪をいじりながらため息をついてしまったために面倒なやつに絡まれた。


「初恋の相手に会いに行くってのに何なんだよ、その態度」

「初恋の相手でもなんでもないし」

「のわりには髪いじりすぎじゃね?いっつもボサボサで出かけるくせに」

「……うるさい」


私はそそくさと洗面所から出て玄関に向かった。

すると、なぜかやつも金魚のフンのように私について来た。


「何?」

「風花1人じゃ心配だからオレも着いてこーって思って」

「…は?」

「ってことで一緒に行こ」

「意味分かんない。なんで颯太も…」


言いかけてハッと思い出した。

そう言えばこいつ…!


「光莉ちゃんに会うため、でしょぉ?」


せっかくからかってやったのに、頬を染めるでもなく、やつはあっけらかんとしてる。


「鈍感風花でも分かるか、オレがみつりんのこと好きだって」


み、みつりん…。

もぉ、勘弁してよ。

我が弟ながらちょっと寒気がする。

連日猛暑だというのに一気に鳥肌が立った。


「今日こそ、みつりんのハート射抜いてみせるから期待してて」


そして、鼻歌交じりにスニーカーを履き、私より先に玄関を出た。

はぁ…。

本日2度目のドデカため息を吐いてから気合いを入れるために太ももをパンっと叩き、立ち上がる。

よし、行こう!

ここまで来たら行くっきゃないんだから。

ドアノブに手をかけ、カンカンと日差しが照りつける屋外へと足を踏み出したのだった。