待てない、夏!

「わるい、わるい。遅れてごめん」

懐かしい声がして、
振り向いた。

陸先輩。

笑顔だ。

でも、

なんか

雰囲気が変わった。

やだ。

少し髪伸ばした?

大人の男性になってる。

そう思っていたら、

陸先輩と目が合った。

「由夏じゃん。久しぶり。
元気にしてた?」

「は、はい。
おかげさまで元気にしてます」

顔が熱くなっているのが分かる。

隣に

本物の陸先輩がいる。

なんだか、信じられない。

パタパタと
手で顔をあおぐ。

そんな私を見て、
沙菜が笑っていた。

もう。

やだ。

陸先輩の

シャツ姿も、

パンツ姿も、

見れば見るほど似合っている。

「陸先輩」

思い切って声を掛けてみる。

「うん?」

そう言って振り向く先輩。

そうそう。

この感じ。

きゃー。

久しぶりすぎる。

「なに? 由夏」

「いや、その……
先輩も元気だったのかなって」

先輩と話をしようと思ったら、

「みんな揃ったから、
矢部先生と写真撮るぞー!」

と声が掛かった。

「よし、由夏。行くぞ」

先輩に
背中を押される。

先生を囲んで
みんなで笑う。

ユニホームや
鉢巻きを持ってきた人もいる。

懐かしい。

鉢巻き……。

そういえば、

陸先輩に刺繍して
渡したな。

「俺、
今もちゃんと取っといてるよ」

えっ?

思わず振り向く。

先輩が

少し笑っていた。

あの頃の記憶が

一気によみがえる。

胸の奥が

また

大きく揺れた。