「マスク回収しまーす!」
由依が全員からヒーローマスクを回収して、リュックに詰め込み始めた。シオンはおたふくのマスクを返上するのを見て、悪役マスクを探がそうと動かした手を止めた。ポケットの中にも、鞄の中にも、手の中にも悪役マスクが見当たらない。
コレ、完全に落としたわ。
このままじゃ、なんで落としたのかと問いつめられるに決まってる。バカ犬に文句言われるのは、絶対嫌だ。カフェオレ頭をチラリと盗み見る。しかし、由依は全く気づくこともなく、樹理に向かって口を開いていた。
「そういや、なんでオレらのいる場所わかったんだよ?向かってる方向も!」
「それは……、やっぱペアだから何となくテレパシーっていうか……なんていうか」
「樹理くんね!由依くんのスマホのGPS機能使ったんだよ!」
「シオンちゃん、それ言っちゃいけないやつ!!」
「なんだよ!!そのジーピースーって!!」
「由依が寝ている間に、樹理が由依のスマホにGPSアプリをインストールしたんだって」
「クソ王子!!何勝手に暴露してんだよ!!」
「……おまえ」
カフェオレブラウンの瞳に見据えられ、樹理がしゅんとしていた。
コイツらが何の話をしているのかわからないけれど、樹理はボロクソに言われればいい。くそ猫はあたしに飛び蹴りを食らわして、ツルの集団に捕まるように陥れたんだ。
「なんだ、その魔法!!オレのスマホ、進化させてくれたんだな!!さすがだな!!」
由依が目をキラキラ輝かせて、意気揚々と言っていた。助手席の背もたれにもたれかかったあたしは、由依は心底バカだと思った。
本当に救いようの無いバカだ。
『受けとめてやるから。』
カフェオレブラウンの瞳を真っすぐとあたしに向けて、両手を広げた由依が脳裏に焼き付いて離れなかった。
ほんと、……バカみたい。
