小悪魔DOLL【Ⅰ】



「マスク回収しまーす!」

由依が全員からヒーローマスクを回収して、リュックに詰め込み始めた。シオンはおたふくのマスクを返上するのを見て、悪役マスクを探がそうと動かした手を止めた。ポケットの中にも、鞄の中にも、手の中にも悪役マスクが見当たらない。

コレ、完全に落としたわ。

このままじゃ、なんで落としたのかと問いつめられるに決まってる。バカ犬に文句言われるのは、絶対嫌だ。カフェオレ頭をチラリと盗み見る。しかし、由依は全く気づくこともなく、樹理に向かって口を開いていた。


「そういや、なんでオレらのいる場所わかったんだよ?向かってる方向も!」

「それは……、やっぱペアだから何となくテレパシーっていうか……なんていうか」

「樹理くんね!由依くんのスマホのGPS機能使ったんだよ!」

「シオンちゃん、それ言っちゃいけないやつ!!」

「なんだよ!!そのジーピースーって!!」

「由依が寝ている間に、樹理が由依のスマホにGPSアプリをインストールしたんだって」

「クソ王子!!何勝手に暴露してんだよ!!」

「……おまえ」

カフェオレブラウンの瞳に見据えられ、樹理がしゅんとしていた。

コイツらが何の話をしているのかわからないけれど、樹理はボロクソに言われればいい。くそ猫はあたしに飛び蹴りを食らわして、ツルの集団に捕まるように陥れたんだ。


「なんだ、その魔法!!オレのスマホ、進化させてくれたんだな!!さすがだな!!」

由依が目をキラキラ輝かせて、意気揚々と言っていた。助手席の背もたれにもたれかかったあたしは、由依は心底バカだと思った。

本当に救いようの無いバカだ。


『受けとめてやるから。』


カフェオレブラウンの瞳を真っすぐとあたしに向けて、両手を広げた由依が脳裏に焼き付いて離れなかった。

ほんと、……バカみたい。