小悪魔DOLL【Ⅰ】



「それにしても、HARUKAくんが迎えに来てくれて助かったー!!」

「お前らを迎えに来た訳じゃねーよ。とりあえず、これ吹きかけろ」

消臭剤を後部座席に投げ捨てて、HARUKAがぼやいた。

「由依近づかないでよ!!由依の臭いがボクの制服についちゃうよ」

「お前、オレの臭いって言うなよ。オラオラオラオルァーーー!!」

運転席のHARUKAがバックミラー越しに、自分の腕を無理矢理樹理の鼻の下にこすりつける由依と、第3シートでクスクス笑い合う優空シオンに目を向けていた。

「お前ら、スプリングフェスティバルの練習進んでる?前半戦、頼むよ。俺が司会なんだから」

……思い出した。


「はぁーい!!」

後ろの4人が元気に返事した。

おい、シオンは観客席だろ。何を頑張るんだ。

「お前ら、いっつも返事だけはいいよな?」

オレオブラックの髪をかきあげて、HARUKAが口角を上げた。サングラスの奥に覗く瞳は、真っすぐと進む方向に向けられる。手慣れた手つきで、ハンドルを回すHARUKAを見つめて、あたしは思い出した。


彼は元【CRO2S CROWN2】のリーダー、HARUKA。

KANATAと肩を並べる、トップアイドルだ。