「YUIーーーーーーーーーーー!!!!!」
路地裏に響いた甲高い声。
その声に顔を上げれば、屋上からカラフルな集団が覗き込んでいた。
「あいく!!ウエストウッドまで逃げるぞ!!!!」
由依があたしの手首を掴んで、走り出す。
「バカ!前だけ見てろ!コケても、助けてやんねーぞ!」
緊迫したこの状況にも、由依は楽しそうにニィッといたずらっ子のように笑った。
前だけを見たカフェオレブラウンの瞳を見て、あたしは力を入れ、地面を強く蹴り上げたんだ。路地から大通りに出ても、ツルの集団の姿はなかった。きっと、あの古びた建物の屋上で足止めを食っているのだろう。
「樹理から、【真っすぐ北に向かって走って来い】って連絡が来た!!」
「おい!北って、どっちだ!!」
「知らないわよ!!北極があるほうでしょ!!」
「北極っていえば、雪だな!寒いほうに走って行けば、あってるな!!」
数メートル走ったところで、由依が再び口を開いた。
「【そっちじゃない!180度転換して、真っすぐ】コイツ、なんで向かってる方向わかんだ?」
キュキュッと方向転換してあたしを振り回しながら走る由依が左に曲がって疾走しだす。あたしはパコンとカフェオレ頭を叩いた。
「いって!!何すんだよ!!!」
「180度って言ったら……、回れ右でしょ……っ!!直角に曲がってどーすんのよ!!あと90度、足りないじゃない!!」
ヒーヒー息を切らして叫んだあたしに、由依が「なるほろ」とアホ面で頷いた。プラス90度体を転換させて、由依が猛スピードで走り始めた。
駆け抜けて行く由依の速さは、周りの景色が飛ぶように入れ替わる。
ジェットコースターのように、ビュンビュンと入れ替わる視界に、目が回りそうだ。
