ゆっくりと目を開くと、ブーンブーンとハエが飛び交っていた。
あたしの死体にハエがたかってしまったのかと、ぼんやりとそんなことを考えていた。
ゴミの山を見上げれば、カフェオレブラウンの瞳とバッチリと目があった。目を見開いていた由依があたしと目が合うと、力が抜けたようにヘナヘナとゴミの山に体を埋めた。ゴミ袋が由依の体重に耐えきれなくなって、崩れていく。
「ぎゃーーーーーー!!!!」
地面に転げ落ちた由依が、大の字に寝転がってケラケラ笑った。
「お前、死んだかと思ったよ」
何笑ってんのよ、ぶっ飛ばすわよ。
「全然パラシュートの役割にならなかったじゃない!!」
「最初ふわって飛んでたけどな?お前の体重が重くて、壊れたんだな!」
「重くない!!!」
「とりあえず、ソイツに助けられたな!」
ソイツ?
由依の視線の先が、あたしの下に向けられていた。悪役マスクを被っているため、視界が遮られてよく見えない。手で感触を確かめれば、プニプニした感触がした。そして、「……うぅ、うぅ。」と低いうめき声がする。
あたしはゆっくりと立ち上がって、悪役マスクをとった。
見下ろせば、巨体の男が地面に伸びていた。
「最悪!!!!」
あたしは地面に伸びた男をゲシゲシ踏みつぶしながら飛び退いた。
「ゲフ!!ガフ!!!……うぅ、うぅ!!!」
「お前!!!命の恩人に何してんだ!!!!」
「知らない男と肌が触れ合ったってだけで、寒気がする!!!」
「お前最低だな!!!!」
足下にくたばる男はレストランの制服を着ていた。彼の下には散乱した生ゴミが散らばっていた。生ゴミを捨てに来たところ、運悪くあたしが落ちてしまったんだ。尾てい骨がじんじんと痛み、首筋も軋むように痛い。
あたしは男に視線を落として、首筋を摩った。
「厄日だわ」
「それ、コイツの台詞だろ!」
