「ちょっと、待ってください!!青林さん!!!!」
この沈黙に一番早く耐えきれなくなったのは、俺だった。
「もし、確定していた彼ら3人が上位にランクインしなかった場合、メンバーから除外されるということですか!?それは、あんまりです!!」
青林さんが決めたわけではない事はわかっていた。
マネージャーは事務所の意向を担当アイドルに伝える役目だということはわかっていた。でも、決まっていたメンバーを降格するなんて、彼らの成長を身近で見て来た俺にとって、耐えられるはずが無かった。
あの時の光景が、目に焼き付いて離れなかった。あの後、優空くんは何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
ハニー色の髪が風に揺れ、ハニーブラウンの瞳が憂いを帯びる。
そして、いつもこう問いかけるんだ。
『青木さん。俺、謹慎とけるかな?』
その言葉を、はぐらかすことしか、俺には出来なかった。
そうするしかなかったんだ。この事務所で下っ端な俺が、優空くんを救うことなんて出来るはずがなかったのだから。
「優空くんは謹慎処分を受けて、メディアの露出が他のドリームに比べて極端に減っています。そんな彼を、他のドリームメンバーと競わせる事は、酷じゃないですか!?」
半年ものブランクがある。
それは流行り廃りのあるアイドル業界で、致命的な空白だ。
なんとしても、阻止したい。
そう考える俺に体を向けた青林さんは、分厚い唇をゆっくりと動かした。彼の低い声が、俺の鼓膜を揺さぶった。
「お前は、誰のマネージャーだ?」
静かに響いた問いかけに、俺は目を見開いた。
あいくの顔が、頭に浮かぶ。
俺はもう、ドリームのマネージャーじゃない……。
わかってる。わかってますよ……。
