数分後。
「何だこれ。こっちの趣味があったとはな?」
パイプ椅子に縛り付けられた斗愛くんが舌打ちをした。
斗愛VS青林のバトルは、青林さんが勝利した。
パイプ椅子に固定するようにガムテープでぐるぐる巻きにされた斗愛くんは、まるで椅子の骨組みの一部になったよう。ピョンピョン飛び跳ねて、ガムテープを外そうともがいても、無駄な抵抗だった。
「ドリームの中で、お前の女遊びの噂が広がっているのは知っているだろ?」
「だから?」
「だからだと?このままだと、ファンの中でも噂が広がる。ウエストウッドドリームに、安売りするアイドルなんぞいらない。いいか、収集がつかなくなるぞ」
「俺が誰と何してようが、事務所が口出しする問題じゃねーだろ」
「自分の立場をわきまえて、社会人としての立ち振る舞いをしろ。少しは相方を見習ったらどうだ?」
青林さんの言葉に、斗愛くんの表情が変わった。
正反対の二人はドリームの中でも、一番険悪なペアだった。そんな斗愛くんに対して、里央くんを見習えという言葉は地雷だ。
「アイツを見習うくらいなら、死んだ方がマシ」
「お前みたいなヤツが、社会不適合者って言うんだよ。自分じゃ何も出来ないくせに、態度は偉そうだ。周りの大人達を巻き込み、騒動を起こしても自分では尻拭いさえ出来ない。お前も身に覚えがあるはずだ……これ以上、お前を擁護しきれない」
「擁護してもらったこと、あったっけ?今さら保護者ぶんなよ」
「真剣に聞け」
ぐいと顔を近づけた青林さんが、斗愛くんの顎をわし掴んだ。
手足を縛られ身動きの取れない斗愛くんが、青林さんの手を振り払おうと首を振る。しかし、太い指が頬に食いこんでいくことに顔を歪めて、抵抗をやめた。ココアブラウンの瞳に間近に迫った青林さんの大きな顔が映った。
