【AOKI side】
担当アイドルが問題を起こしている頃、俺はまた別の問題に巻き込まれていた。
お相撲さんのように大柄な青林マネージャーが斗愛くんの胸ぐらを掴み上げて、ぶらんぶらんと大きく揺さぶった。俺より身長の高い斗愛くんも、青林マネージャーの手にかかれば園児のようだ。
「何回言えばわかるんだ!この糞ガキ!」
「触んじゃねえよ、トロール!」
「青林さん落ち着いてください!斗愛くんも!」
俺が手のひらを見せて叫んだところで、無駄だった。
青林さんは赤い旗を翻された闘牛だ。
角を振り回すように、斗愛くんを振り回す。俺はウエストウッドのマネージャーとして、アイドルの命を守る為に先輩マネージャーに楯突くことを選択し、床を蹴った。
その正義感が裏目に出るとは、この時の俺は気づく事も無かったんだ。
振り回されていた斗愛くんが青林さんの手首を鷲掴んだ。揺れを利用した斗愛くんが、青林さんの大きく突き出た腹に足を乗せた。そして、青林さんのビール腹の上で右足を踏み込んだ。
「ウスノロジジイ!!!!」
斗愛くんの声が、会議室に響き渡った。
斗愛くんがどんな表情でどんな体勢で吐き捨てたのか、俺は知らない。何故ならその瞬間、俺は勢いよく吹き飛んで、壁に激突していたからだ。
「回し蹴り、どう?脂肪の塊にも、少しは効いた?」
コレ、完全に、巻き込み事故っす……。
