……あのくそ猫っ!絶対、許さない!!
傾く体を何とか立て直そうと、あたしは宙で暴れた。右手に持っていた傘の柄が何かに引っかかる。あたしはそれを思い切り、引っ張ったんだ。
「……ぐっ!ぐるじい!!」
傘の柄が引っかかったのは、由依のパーカーのフードだったらしい。突然加わったあたしの体重に悶え苦しみながら、なんとか前に進もうと懸命に足を動かしている。ぐいと渾身の力を込めて体勢を立て直せば、あたしのかわりに由依がゴロンゴロンと後ろに転がった。
あたしは素知らぬ顔して、駆け出した。
「うおーーーーーー!!!あいくーーーー!!てめぇーーーーー!!!!」
ツルのすぐ目の前まで転がって行った由依は、機敏に立ち上げると、物凄い勢いで戻って来た。
「お前、人殺しかよ!!!」
「しょうがないじゃない!!転びそうだったんだから!!」
「だからって、巻き添えにしといて、何食わぬ顔して走ってんじゃねーよ!!」
「……そんなことよりっ」
「そんなことって何だ!!あのままじゃ、オレ1人捕まっちまってただろ!!」
耳元で吠えるな、バカ犬。誰のせいでバレたと思ってんのよ。
「プランBって、何よ!全然、逃げ切れてないじゃない!」
「いやー、バラバラに逃げたら、ツル達もバラバラになると思ったんだけど……」
「はぁ!?全然バラバラになってないし、全員あたしたち2人を標的にしてんじゃない!!」
「作戦失敗だな!!!」
ケラケラ笑いながら、由依が意気揚々と言った。
「失敗してんじゃないわよ!逃げにくくなっただけじゃない!!何笑ってんのよ!!ぶっ飛ばすわよ!!!」
胸ぐらを掴み上げて、グラングラン揺さぶれば、由依が奇声を発した。
