「そういえばね!スプリンフェスティバルのチケットとれたの!あいくちゃんの分もとろうと思ったんだけど、青木さんに聞いたらスケジュールの都合上、あいくちゃんは見れないって断られちゃって……」
当然じゃない。
見る側じゃなくて、見せる側だ。
あたしはスプリングフェスティバルでデビューする。
「KANATAくんは後半戦に参加するみたい。前半はウエストウッドドリーム全員出るんだよ!TOARIOに会えると思うと嬉しくて!あとあと、YUIJURIも!SORAくんは今回参加するのかなぁ?」
いろんな男にうつつを抜かしすぎだ。
KANATAがいるのに、他の男に目移りする意味がわからない。まぁ、KANATAを渡すつもりは毛頭ないけれど。
早口で捲し立てるシオンにうんざりして教室の扉に目を向ければ、ちょうど誰かが入ってきた。
「お前がのろたらしてるから、寝る時間無くなったろ~」
「よく言うよぉ。授業中だって構わず寝てるくせに。由依、後ろの毛跳ねてるよぉ?寝癖ついたまーんま!」
「わざとだ」
「絶対うそおお!」
カフェオレ色の髪がくるんと跳ねていた。
それにマシュマロ色の瞳が向けられる。二人に目を向け、あたしは目を見開いた。子犬と子猫が仲良く登校してきたんだ。
なんで、コイツらいんのよ。
「あいくちゃん?」
真っ直ぐと子犬と子猫を見据えるあたしを見上げ、シオンもあたしの視線の先を追った。そして、2人の男子生徒を視界に入れると、奇声を発したのだ。
「YUIJURIーーー!!!」
その鳴き声に、カフェオレ色の瞳とマシュマロ色の瞳が向けられた。由依は眠そうにアクビをして、樹理はあたしを視界に入れるやいなや、あからさまに顔を歪めた。
「……最悪っ」
こっちの台詞だ、くそ猫。
