小悪魔DOLL【Ⅰ】



「そういえばね!スプリンフェスティバルのチケットとれたの!あいくちゃんの分もとろうと思ったんだけど、青木さんに聞いたらスケジュールの都合上、あいくちゃんは見れないって断られちゃって……」

当然じゃない。

見る側じゃなくて、見せる側だ。

あたしはスプリングフェスティバルでデビューする。


「KANATAくんは後半戦に参加するみたい。前半はウエストウッドドリーム全員出るんだよ!TOARIOに会えると思うと嬉しくて!あとあと、YUIJURIも!SORAくんは今回参加するのかなぁ?」

いろんな男にうつつを抜かしすぎだ。

KANATAがいるのに、他の男に目移りする意味がわからない。まぁ、KANATAを渡すつもりは毛頭ないけれど。

早口で捲し立てるシオンにうんざりして教室の扉に目を向ければ、ちょうど誰かが入ってきた。



「お前がのろたらしてるから、寝る時間無くなったろ~」

「よく言うよぉ。授業中だって構わず寝てるくせに。由依、後ろの毛跳ねてるよぉ?寝癖ついたまーんま!」

「わざとだ」

「絶対うそおお!」

カフェオレ色の髪がくるんと跳ねていた。

それにマシュマロ色の瞳が向けられる。二人に目を向け、あたしは目を見開いた。子犬と子猫が仲良く登校してきたんだ。

なんで、コイツらいんのよ。


「あいくちゃん?」

真っ直ぐと子犬と子猫を見据えるあたしを見上げ、シオンもあたしの視線の先を追った。そして、2人の男子生徒を視界に入れると、奇声を発したのだ。

「YUIJURIーーー!!!」

その鳴き声に、カフェオレ色の瞳とマシュマロ色の瞳が向けられた。由依は眠そうにアクビをして、樹理はあたしを視界に入れるやいなや、あからさまに顔を歪めた。


「……最悪っ」

こっちの台詞だ、くそ猫。