春の風が吹いた。
カフェオレ色の髪を揺らした風が、少し遅れてミルクティー色の髪を靡かせる。2階建ての屋上の端に立って、由依は振り返ってあたしを見た。
1歩踏み出せば、落っこちてしまう場所で、由依は笑った。
そして、こう言った。
「飛び降りるんだ」
まるで何も恐れることはないように。
そして、次の瞬間。
彼は空の中に飛び込んだ。
心臓が、強く収縮した。
手を伸ばす事も、声をかける事も出来ず、大きく目を見開くことしか出来なかったんだ。それはまるでスローモーションのようにゆっくりとした時の流れの中、彼はあたしの目の前で屋上から飛び降りた。
