小悪魔DOLL【Ⅰ】




春の風が吹いた。

カフェオレ色の髪を揺らした風が、少し遅れてミルクティー色の髪を靡かせる。2階建ての屋上の端に立って、由依は振り返ってあたしを見た。

1歩踏み出せば、落っこちてしまう場所で、由依は笑った。

そして、こう言った。

「飛び降りるんだ」

まるで何も恐れることはないように。



そして、次の瞬間。

彼は空の中に飛び込んだ。

心臓が、強く収縮した。

手を伸ばす事も、声をかける事も出来ず、大きく目を見開くことしか出来なかったんだ。それはまるでスローモーションのようにゆっくりとした時の流れの中、彼はあたしの目の前で屋上から飛び降りた。