神話の世界から舞い降りた使者のように神々しく、おとぎ話から現れた騎士のように優雅で、ジャケットに散りばめられたダイアのような石は、まるで衣装みたいに華やかだ。
そうだ……、なんでいるの?
「コンサート、は……?……どうして」
消え入りそうな呟きに、KANATAは二回瞬きをして瞳の奥を見るように覗き込んだ。
逢えないと思ってたのに。
KANATAは10周年コンサートがあったはずなのに。
コンサートの終わる時間はとっくに過ぎているけど、何のためにレコーディングスタジオにいるのかわからない。
「よく知ってるね。今日は少しここに用事があって」
KANATAが口角を上げて、微笑んだ。
知ってる。
ずっと前から、KANATAのこと見てきたんだもん。
知ってるに決まってるよ。
運命って、本当にあるんだ。
あたしがKANATAを見つけたのも、あたしがKANATAを追いかけてこの街に来たのも、あたしが今日ここでKANATAに初めて出逢ったのも、全て運命なんだ。そう考えれば、足に手に力が入った。
KANATAを正面から、真っ直ぐと見上げた。
KANATAに、伝えたかった。
今までKANATAを想ってきたこと。それでも、上手く伝えられる気はしなかった。でも、伝えないと後悔する。
あたしは、何のためにこの街に来たの?
そんなの、明白じゃない。
「……あのっ、」
あたしは勇気を振り絞り、KANATAを見つめた。
「好きです」
拳を強く握っていた。
緊張しすぎて、拳がふるふると震えた。真っ直ぐとKANATAを見つめていたけど、何も見えていなかった。KANATAがどんな表情であたしを見つめていたのか。見る余裕すら、無かったんだ。
「結婚してくださいっ!」
2人きりの通路に、あたしの声が大きく響き渡った。
