小悪魔DOLL【Ⅰ】



『あの可愛い子は誰なんだろうって、あたし独自のルートで調査したんだけどぉ……。そしたら、なんとあいくちゃんってわかったの!これは運命だと思うの!あたしとあいくちゃんは、友達になるべくして出逢ったんだよぉ!!』

『運命ではない』

『あいくちゃんに似合いそうな衣装も、この中にたくさん詰めておいたからね!』

『人の荷物、勝手に開けるな』

『ボロボロでシンプルすぎたから、ジュエルストーンでキラキラにして、レースでひらひらにしておいたよ!ほら、ここにAの文字入れたのぉ!』

『人の荷物、勝手にデコるな』

『あたしね、親友と行きたいとこがあってね。あいくちゃんと、行けたらなーって。……あっ、あった!!!』

シオンは肩にかけた鞄の中をガサゴソとかき回していた。

シオンが探り当てたのが何だったのか、そんなことどうでもよかった。満面の笑みであたしを見つめて、鞄の中から取り出したスマホを持つ。だから、あたしも真っすぐ彼女を見つめて、口を開いたんだ。


『友達なんて、あたしはいらない』

あたしの言葉を聞いた瞬間のシオンは、まるでこの世の終わりみたいな顔をした。肩にかかっていた鞄がずるずると滑り落ちて、地面に音をたてて落ちた。ウキウキしていた表情が、一瞬にして萎んだのが見えた。



「お疲れさまでしたー!!!」

現在に舞い戻ったあたしはカメラマンにお愛想笑いを返して、出口に直行した。スタッフの間を物凄いスピードで駆け抜けて、ポンコツマネージャーの前を通る過ぎる際に、青木に首根っこを掴まれて窒息しかけた。

「ぐひっ!……何すんのよっ!」

「どこ行くつもりっすか!」

「早く帰るのよ!撮影は終わったでしょ?早く車用意してよ!」

「まだ帰れませんよ!言いましたよね?撮影が終わったら、取材を受けるって」

「……コイツっ」

「何か言いました!?」

青木の顔がぐんと近づく。

青木が偉そうなことほど苛立たしいことはない。みぞおちに膝蹴りを食らわしてやりたいけど、今日は我慢だ。

明日になったら覚えてろよ。