『あの可愛い子は誰なんだろうって、あたし独自のルートで調査したんだけどぉ……。そしたら、なんとあいくちゃんってわかったの!これは運命だと思うの!あたしとあいくちゃんは、友達になるべくして出逢ったんだよぉ!!』
『運命ではない』
『あいくちゃんに似合いそうな衣装も、この中にたくさん詰めておいたからね!』
『人の荷物、勝手に開けるな』
『ボロボロでシンプルすぎたから、ジュエルストーンでキラキラにして、レースでひらひらにしておいたよ!ほら、ここにAの文字入れたのぉ!』
『人の荷物、勝手にデコるな』
『あたしね、親友と行きたいとこがあってね。あいくちゃんと、行けたらなーって。……あっ、あった!!!』
シオンは肩にかけた鞄の中をガサゴソとかき回していた。
シオンが探り当てたのが何だったのか、そんなことどうでもよかった。満面の笑みであたしを見つめて、鞄の中から取り出したスマホを持つ。だから、あたしも真っすぐ彼女を見つめて、口を開いたんだ。
『友達なんて、あたしはいらない』
あたしの言葉を聞いた瞬間のシオンは、まるでこの世の終わりみたいな顔をした。肩にかかっていた鞄がずるずると滑り落ちて、地面に音をたてて落ちた。ウキウキしていた表情が、一瞬にして萎んだのが見えた。
「お疲れさまでしたー!!!」
現在に舞い戻ったあたしはカメラマンにお愛想笑いを返して、出口に直行した。スタッフの間を物凄いスピードで駆け抜けて、ポンコツマネージャーの前を通る過ぎる際に、青木に首根っこを掴まれて窒息しかけた。
「ぐひっ!……何すんのよっ!」
「どこ行くつもりっすか!」
「早く帰るのよ!撮影は終わったでしょ?早く車用意してよ!」
「まだ帰れませんよ!言いましたよね?撮影が終わったら、取材を受けるって」
「……コイツっ」
「何か言いました!?」
青木の顔がぐんと近づく。
青木が偉そうなことほど苛立たしいことはない。みぞおちに膝蹴りを食らわしてやりたいけど、今日は我慢だ。
明日になったら覚えてろよ。
