小悪魔DOLL【Ⅰ】




【SORA♘】






彼氏にしたいドリームランキング
(ドリーム総人数1000人)

1位 悪魔系アイドル TOA
2位 天使系アイドル RIO
3位 王子系アイドル SORA
4位 子犬系アイドル YUI
5位 子猫系アイドル JURI






瞳の奥で、ランキングの活字が浮かぶ。

今年はどのくらい、順位が下がってしまうのだろう。

主力メンバーの中にはもう、入れないかもしれない。



ハニーブラウンの瞳を開いて、鏡に映った自分を見つめる。

艶やかな床を蹴って、ターンを決める。

体の先端まで意識を集中させて、優雅に綺麗に、踊る。

一つの振り付けも間違わないように、決して間違いを起こさないように。

ステージの上で、うまく踊れるように。




『去年のランキングが3位でも、アイツはもう終わりだ』
『事務所に見放されてる。ファンだって、見放してるさ』
『よく戻って来れたよな』
『グループを潰しておいて』

ドリーム達の陰口が耳の奥に蘇り、息が詰まる。

ステップは止まって、広げた腕が閉じていく。ズキリと痛んだ心臓を紛らわすように、胸を鷲掴む。

呼吸が荒く、荒く、なっていく。



「……はぁっ、……違うっ。……潰してない……っ」

しんと静まり返ったレッスンルームに、俺のかすれた声だけが響いた。何度首を振って否定しようと、きっとこの声は誰にも届かない。汗ばんだ肌に、ハニー色の髪が張り付く。

踊りすぎて体が辛いのか、昔の記憶に体が蝕まれているのか。

俺にはもうよくわからなかった。

でも、休んでいる暇はない。

そんな時間は、残されていないから。



俯いていた顔をあげた時、桜の花びらがひらりひらりと足下に舞い落ちる。開けっ放しだった窓から、迷い込んだようだ。ふと窓に目を向けると、にぎやかな声が聞こえた。

その声に導かれるように、窓に駆け寄り、外に目を向けた。




「……みんな」

ウエストウッドの中庭に、見知った顔ぶれがあった。

桜の木の下でシートを広げて、お花見をする彼らの中に、彼女も居た。前会った時と容姿はかなり変わっていたけれど、あんな素振りをするのは、彼女しかいない。


「あいく、……待ってたよ」

彼女を見つめて、口角を上げた。







【SORA♘】