小悪魔DOLL【Ⅰ】







「団子食べて、早く帰れよぉ!」

「いらない。もう帰る!!!」

「帰るなら勝手に帰れよぉ。いちいち宣言するなんて、引き止めてほしいわけぇ?誰もお前のことなんて、引き止めやしないよ。ねねね、里央くん!里央くん専用のお団子用意してあるんだー!この食べ残しには、絶対手をつけないでね!」

樹理が立ち上がって、新しい団子を盛りつけ始めた。


「斗愛くん、オレ酔拳ダンス開発したから見て!」

「だっさ、そんなんいつ披露すんだよ」

「最初へべれげからはじまんの!」

シートの上でのたうち回る由依を見て、鼻で笑う斗愛がいた。あたしを気にもとめず、和気藹々と盛り上がる彼らを見つめて、強く拳を握った。




そっちから勝手に拉致したくせに、

なんでこんなにバカにされなくちゃいけないのよ!!

こんなの、ちがう。

こんなこと、あたしが望むことじゃない。

あたしがウエストウッドにやってきたのは、こんなことのためじゃない。

あたしは魔法の世界に飛び込むんだ。

それはKANATAに会うためだった。





だから、ここにある全ての物がとっても魅力的に見えたんだ。

ビスケット色の大きな門も、
シロップのようにキラキラ輝く噴水も、
美味しそうなウエディングケーキも、
カチャカチャポンポンと陽気な音をたてるゲームマシーンも。

ここから、あたしのストーリーが始まると思っていた。


それなのに……、あたしは知らない男たちにコケにされ続けてる。騒がしいアイツらの声が鼓膜を揺するたび、モヤモヤとした感情が胸の中を渦巻く。

赤くなった手の甲を見つめて、唇を噛み締めた。