数分後。
「いいか、あいく。こうやって、飲むんだよ。……グビグビグビッ、カァァァァッッ!!染みるぜェーーーー!!!!」
トックリの酒を一気に飲み干した由依が、決め顔を作ってあたしを見た。あたしはなみなみ注がれた酒が入ったトックリを持ったまま、無表情で目を向けた。
「アホ面こいてないで、お前もやれよ!」
「誰がアホ面よ!!呆れて見てんのよ!!」
あたしはムッとして、トックリを口につけた。
そして、目を強く閉じて、勢い良く流し込んだ。口の中に甘味が広がって、あたしは中身の無くなったトックリをまじまじと見つめた。
「何これ……」
「おい!何してんだ!!ッカァァァァァ!!染みるぜェーーーー!!だろ!?」
「これ、甘くて美味しい」
「あったりめーだろ。スポーツドリンクが一番うめーんだ!!」
「はぁ!?スポーツドリンク!?お酒だと思ったじゃない!」
「なに言ってんだ?未成年は酒飲んじゃいけねーんだぞ」
「一升瓶にスポーツ飲料移し替えるのは勝手だけど、カラのペットボトルを片付ける人の身にもなってほしいもんだね」
樹理がお皿にからし入りの団子を積みながら、ぼやいた。
「バカみたい。何のために移し替えるのよ」
「これだから素人は、何もわかっちゃいない。花見と言ったら、桜と団子と酒と酔っぱらいだろ!!それをたしなむのが、粋な大人がやる花見っつーもんだ!!」
「由依、コイツに言っても無駄無駄。ブスには理解できないよ」
「誰がブスなのよ!!!」
「お前以外に誰がいるんだよ?さぁさぁ、ブスさん、お団子どうぞ」
「いらないわよ!!!!」
「食えよぉ!!!」
「食べない!!!!」
お団子を無理矢理食べさそうと、あたしの口をこじあけようとする樹理ともみくちゃになった。由依はその周りを酔っぱらいのマネをして、奇声を上げながら千鳥足で歩く。
