小悪魔DOLL【Ⅰ】





【⁽⁽ଘRIO×TOA✟】






空はとても真っ黒だった。

街の輝きが全てのみこまれてしまいそうに黒々として、続くのはどこまでもどこまでも深い闇だった。軽い変装のため帽子を被り眼鏡をかけた里央は、眼鏡の奥にある瞳を空へ向けた。

ミルキーブラウンの瞳は、輝くことのない星たちを探していた。




「事務所に頼まれて、子守りでもしてたか?」

その声に、ミルキーブラウンの瞳を夜空から下に降ろす。

斗愛はバイクにもたれかかって、挑発するように首を傾げた。加えたタバコから白い煙がゆらゆらと夜空に向かって揺らめいた。自分とは対照的な真っ黒なコーデの斗愛を視界に入れて、里央は無表情で見つめ返した。




「お前には、関係ない」

「ドリームのリーダー。ドリームの中でも、王道なアイドル路線。天使系アイドルを全うするRIO。どんなファンにも天使と呼んで媚売るお前が、ついに事務所の忠実な犬になった」

斗愛の声は静かに響く。



「あの女、ウエストウッドに所属するって言ったな。アイツを手なずけるために、色恋の魔法でも使ったか?」

「それを知って、どうするの?」

「ただ自分のペアがどれほど事務所にへつらって、立場を守りたいのか、知りてえだけだよ。お前だって気づいてんだろ。男だけの事務所に、突然女を入れる愚策を。必死に順従になったところで、末路は見えてるのにな?」

「今日は悪魔が街に降りたつのは、おすすめできないよ。その汚い羽根をしまって、大人しくしてろ。これ以上、僕が被害を被るのは御免だからね」

「……へぇ、妙に今日の街が騒がしいと思えば、お前のせいか。そうまでして、お前がほしいって言うなら、くれてやるよ。このNo.1の座なんて、いくらでも」

まるで悪魔のように煙を吐き出せば、斗愛の周りを煙が覆った。里央はミルキーブラウンの瞳を揺らし、クスクスと笑いをこぼした。


「それを、わざわざ言いに来たの?」

ミルキーブラウンの瞳に堕天使の影が揺れた。

蔑むように向けられる瞳に、斗愛が眉間にシワを寄せて里央を見つめた。天使の顔からは想像出来ない程低い声が、響いていく。






「僕は君から、貰うんじゃない。自分の力で奪い取るんだよ」

ミルキーブラウンの瞳が鋭く光った。