小悪魔DOLL【Ⅰ】






足りない、まだ足りない。

里央は表情を変えることなく、偽りの天使の微笑みを顔に貼付けたまま。

この天使スマイルを崩してやりたい。


あたしは感情の赴くまま、肩を突き飛ばした。

その勢いに、里央はベッドに仰向けに倒れこんだ。突然のことに、一瞬目を見開いた里央の表情を見て、あたしは口角をあげた。




……勝った。




1度も崩れなかった天使スマイルを、崩してやった。

もっともっと、里央の想像を遥かに越えることをしてやりたい。仰向けになった里央へ、馬乗りに覆い被さった。顔を近づければ、ベッドに広がったミルキーブラウンの髪にミルクティ色が交わった。

それでも、里央が驚いた表情を見せたのは一瞬で、再び天使が舞い降りると、カメラに瞳を向けた。


その横顔は、完璧な天使だった。




「AIKUちゃん!ノッてきて、すごくいいんだけどさ!今日のテーマは『天使の恋』なんだよね?ちょっと、過激すぎるかなぁ?」

その声でカメラマンに目を向ければ、カメラマンの後ろで青木が大袈裟なジェスチャーをしていた。

腕で大きなバッテンを作り、悪魔禁止令を発令している。


「ごめんなさいっ。初めてでわからなくって……、やりすぎちゃいました!」

あたしはペロッと舌を出して謝罪した。