足りない、まだ足りない。
里央は表情を変えることなく、偽りの天使の微笑みを顔に貼付けたまま。
この天使スマイルを崩してやりたい。
あたしは感情の赴くまま、肩を突き飛ばした。
その勢いに、里央はベッドに仰向けに倒れこんだ。突然のことに、一瞬目を見開いた里央の表情を見て、あたしは口角をあげた。
……勝った。
1度も崩れなかった天使スマイルを、崩してやった。
もっともっと、里央の想像を遥かに越えることをしてやりたい。仰向けになった里央へ、馬乗りに覆い被さった。顔を近づければ、ベッドに広がったミルキーブラウンの髪にミルクティ色が交わった。
それでも、里央が驚いた表情を見せたのは一瞬で、再び天使が舞い降りると、カメラに瞳を向けた。
その横顔は、完璧な天使だった。
「AIKUちゃん!ノッてきて、すごくいいんだけどさ!今日のテーマは『天使の恋』なんだよね?ちょっと、過激すぎるかなぁ?」
その声でカメラマンに目を向ければ、カメラマンの後ろで青木が大袈裟なジェスチャーをしていた。
腕で大きなバッテンを作り、悪魔禁止令を発令している。
「ごめんなさいっ。初めてでわからなくって……、やりすぎちゃいました!」
あたしはペロッと舌を出して謝罪した。
