カシャカシャカシャカシャ!
玄関の扉を開けば、物凄い勢いで連写をされた。
フラッシュを浴びて、目が眩む。
『記者だよ』
優空の声が耳の奥に響く。
それでも、部屋の中に記者が上がり込んでるなんてこと、あるはずない。あたしは眩んだ目を元の視力に戻そうと、目を瞬かせた。
「あいく、おかえりなさい」
ポンコツかよ!!
スマホのカメラをあたしに向けた青木が、満足げな表情であたしを見つめた。
「その写真をスマホのホーム画面にする気なら、きもすぎて吐ける」
「……なっ!何言ってるんすか!これもれっきとした、仕事です!!」
なに胸はって偉そうに言ってんのよ!!
スキャンダル記者だと思ったじゃない!!
「紛らわしいのよっ!!」
青木の横を通りすぎる際に叫べば、青木は驚いてスマホを足に落っことしていた。
「……いっ!!」
廊下で悶え苦しむ青木を無視して、あたしはテーブルの前に腰を降ろした。足の甲をさすりながら、青木がケンケンでやってきた。
「構ってほしいからって、大袈裟」
「誰が構ってほしいんすか!!!!」
「あんた以外に誰がいんのよ?」
「いいですか?俺は【ラブべあ】の方々に、普段のあいくをお届けするために抜き打ち写真を撮ったまでです!ファンって言うのは、オフのアイドル写真を見たいものですからね」
偉そうに。
腕を組んで大人ぶる青木に、あたしは鼻を鳴らした。
そんなあたしを気にする素振りも見せず、青木はスマホをいじり始めた。細かい作業をするように人差し指を忙しなく動かしている。
「背景がバレないように背景透過してっと……あっ!【ラブべあ】っていうのは、あいくのファンのことですよ!あいくの記事が出て、昨日正式に事務所でもその記事にのっかることになったんです」
「【ラブべあ】くらい、知ってるわよ」
「知ってたんですか?あいくのくせに、珍しい」
どういう意味よ!!!
キッと睨み付けるあたしに反応することなく、青木は別のことに驚いたように目を見開いてあたしに近づいた。
先ほどまで王子系美男子を見ていたせいで、青木の顔が近づくのは何だか嫌だ。パーソナルスペースを守ってほしい。
「まさか、エゴサーチしたわけじゃないですよね?」
「なに?エゴ?」
「自分のことをネットで調べることですよ。芸能人でやっている人もいるようですけど、やらないほうがいいですけどね」
なんでネットであたしのことを調べられるのよ。ネットって意味がわからない。
「いや、あいくは逆にやった方がいいかもしれないですね。自分が他人からどう思われてるのか、しっかり受け止めたほうがいいですしね」
ちょっと、どういう意味よ?
