小悪魔DOLL【Ⅰ】



青木とシオンがうるさくて、あたしは寝ぼけ眼で起き上がった。ベッドから降りてテーブルの前に座れば、テーブルには朝食が用意されていた。青木は毎日炊事洗濯掃除をしにやってくる。

テーブルの前に座り込んだあたしを追いかけるように、シオンがあたしの隣に腰かけた。あたしはシオンを無視して、朝食を見下ろした。

目玉焼き、ベーコン、トースト、バター。

飲み物は、牛乳だった。


「あいくちゃん!あいくちゃん!」

目玉焼きをフォークで突き刺して、頬張った。パサパサする食感を、牛乳で流し込んだ。

「デビューおめでとう!!シオン、とっても嬉しくて、泣いちゃった!!本当に嬉しかったの。だって、親友の晴れ舞台を最前列で見れたんだよぉ!?」

「親友ではない」

「すっごく綺麗で可愛くて、AIKUちゃんがキラキラ見えて、遠い国の人みたいだったなぁ……」

「この目玉焼き、まずすぎ。あたしは半熟しか食べないの。これからは、半熟で焼きなさいよねポンコツ」

「……なっ!!」

「あいくちゃんは、半熟の目玉焼きしか食べないっと」

おい、何メモしてんだ。

隣のシオンを蔑むように見ていたあたしに、青木が新聞を突きつけた。突然視界に入った新聞に気分を害して、顔を歪めて青木を睨み付けた。


「AIKUのデビューが1面です!!」

あたしが意地でも受け取らないと理解し、青木がテーブルにバン!と音をたてて置いた。