小悪魔DOLL【Ⅰ】



「なんでエスプレッソなんて注文したんですか!カフェモカを注文すれば済むことなのに!」

「何よ!その言い方!」

あたしだって、プレミアムカフェモカ注文する気だったわよ!それなのに、邪魔が入ったんだ。

青木はぶそくるあたしを見てため息を吐き出し、レジ上の小銭をかき集める。

「まったく、カフェモカも1人で買えないんですか?」

「買えるわよ!!何も知らないくせに!!」

「はいはい、わかりましたよ。サイン会の打ち合わせが入りましたから、今から事務所行きますよ」

「待ってよ、カフェモカは!?」

「もう時間が無いんですよ。カフェモカはまた今度。いいですか?これからは、レジで「カフェモカください」って言えばいいんですから、他の商品は注文しないでくださいよ」

「そんなこと言われなくても、わかってるわよ!!」

「ですよね。一応、確認として言っただけですから。すみません。ご迷惑をおかけしました」

食ってかかるあたしから目を離して、青木が店員に向かってペコリとお辞儀をした。店員が先程の態度とはうってかわってボソボソと返事をし、顔を隠すように黒いキャップを深く被り直すのを見た。


「あいく、行きますよ」

「触んな!ポンコツ!!」

あたしはプリプリしながら、歩きだした。

青木はエスプレッソを飲んだように、苦い表情であたしの後ろ姿を見つめていた。