計算もなく撫でられた頭に、無意識に口角が上がっていた。お兄ちゃんみたい。オレオブラウンの瞳が向けられ、いたずらに笑うHARUKAを見上げ、あたしはそう思った。
「2部が始まるまで、休憩しに来たんだよ。そしたら、AIKUいるからラッキーと思ってさ」
何がラッキーなのか、よくわからない。
「そういえば、スプリングフェスティバルって言えば、HARUKAくんとKANATAくんが一年に一回共演するイベントですよねー」
「そういや、そうだな」
「【CRO2SCROWN2】復活すればいいのに……」
「どうだろうな?」
「まぁ、HARUKAくんもKANATAくんも個々で活躍してるし、他の二人も集まるのは大変ですけど。【CRO2SCROWN2】は俺らの憧れですからね。お待たせしましたー!エスプレッソです!」
店員がエスプレッソをレジに置いた。
真っ黒だ。
こんなもの、飲み物じゃない。
中身を覗きこみ、あたしはそう思った。
「それでは、ちょうどお預かりしまーす!」
あたしがレジ机に置いた小銭の半分を奪い取り、店員が言った。
ちょっと、待ちなさいよ。
置かれたエスプレッソの1つを手にもって、HARUKAがあたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「AIKU、ごちそうさま~!」
はぁーーーーー!?
おっさん、なにほざいちゃってんの!?
そして、あたしは思い出していた。
『AIKUいるからラッキーと思ってさ』
HARUKAが先程発した言葉を。
コイツ糞じゃん!!
先輩のくせに後輩の金奪い取るなんて、ただの糞じゃん!!
全然、お兄ちゃんじゃない!!!
